過去最強で最重量 ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッドへ試乗 シュツットガルトの新たな偉業

公開 : 2023.10.31 19:05

フェイスリフトを受けた3代目カイエンにターボ E-ハイブリッド登場 シュツットガルトの新たな偉業といえる能力の幅 英国編集部がスペインで評価

フェイスリフトでラインナップ更新中

3代目ポルシェカイエンは、フェイスリフトによるラインナップ更新の真っ最中。新しいカイエン E-ハイブリッドなどは、2023年初頭から販売がスタートしている。

だが、電動化仕様はまだ控えている。S E-ハイブリッドとターボ E-ハイブリッドというパワフルなプラグイン・ハイブリッドが、新たに追加される。今回試乗したのは、その後者。カイエンのフラッグシップとなる、最強版だ。

ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド(欧州仕様)

これまでのカイエン・ターボ S E-ハイブリッドを置き換えるモデルで、ボディスタイルはワゴンとクーペの2種類から選べる。単に「S」が省かれただけではない。従来以上のEVモードでの走行距離と、スーパーカー顔負けの動力性能が与えられている。

オプションで、GTパッケージも用意される。カイエン・ターボGT用に開発された軽量化アイテムを組むことで、車重を100kg削り、より鋭い身のこなしを実現するという。ただし、ターボGTのように、クーペボディでしか指定できないそうだ。

カイエン・ターボ E-ハイブリッドの主な動力源になるのは、ポルシェが開発した4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジン。単体で599psと81.4kg-mを発揮する。

フェイスリフトに合わせて、2基のシングルスクロール・ターボに電動ウェイストゲート、350barの高圧インジェクション、2ステージ可変バルブリフト・システムなど、細かな改良が施された。ここに、新しいディスク状の駆動用モーターが組み合わされる。

過去最強で最重量のカイエン

駆動用モーターは8速ATのフロント側に内臓。こちらは、従来のターボ S E-ハイブリッドから40psと5.1kg-m増しの、176psと45.6kg-mを生み出すという。

システム総合での最高出力は、740ps。最大トルクは96.6kg-mに達する。つまり、過去最強のカイエンが誕生したことになる。ただし車重は2495kgもあり、過去最重量のカイエンでもある。

ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン・クーペ・ターボ E-ハイブリッド(欧州仕様)

プラグイン・ハイブリッドの巨大なエネルギーは、独自プログラムを実装する四輪駆動システムが受け止める。ドライブモードは、オフロード、E-パワー、ハイブリッド、スポーツ、スポーツプラスの5種類。ステアリングホイール上のダイヤルで、選択可能だ。

同社の製品ラインマネージャー、シャヤン・バゲリ氏は、リア・バイアスのパワー分配に仕立てたと誇らしげに話す。リアの荷室フロア下に搭載された、駆動用リチウムイオン・バッテリーの重量を、最大限に活用することが目指されたとか。

駆動用バッテリーの容量は、25.9kWh。こちらも従来から8kWh増やされており、電気の力だけで最長72kmを走れるとのこと。

サスペンションは、新開発のエアスプリングにツインバルブ・ダンパーという組み合わせ。GTパッケージを選ぶとルーフがカーボンファイバー製になり、重心位置が低くなる。フロントのキャンバー角は専用設定になり、車高も10mm落とされる。

インテリアも、フェイスリフトで一新された。高級感があり上品で、知覚品質は高い。この価格帯のSUVへ期待される、雰囲気と実用性を持ち合わせている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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