「乗ればわかる!」支持される理由 新型スバル・クロストレックへ英国試乗 シャシー能力は上々

公開 : 2024.02.22 19:05

パワー不足は否めない バランスの良いシャシー

舗装路では、驚くほどの動力性能は披露しないものの、シャシーとパワートレインはしっかり進歩している。リニアトロニックとスバルが呼ぶCVTも、ちゃんとロックアップし、ぬかるんだ道に対応してくれる。

クロストレックのCVTには、「S」と「I」の2モードがあり、Sを選ぶと7速ATのような振る舞いを示す。Iモードは、僅かだが燃費が向上。必要に応じて、走行中でもエンジンが停止する。鋭い加速にも、回転数を過度に高めることなく対応できる。

スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)
スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)

確かに、若干のパワー不足は否めない。それでも、従来より気張る必要はなくなったように感じた。

操縦性や乗り心地も、しっかりアップデートされている。コーナーではボディロールを感じるが、グリップ力は安定。確かなトラクションを活かせる、優れたバランスがある。

タイヤの転がり音は静かで、ダンパーは高速走行時でも垂直方向の動きをしっかり制御。シフトパドルでCVTを操れば、四輪駆動システムが、滑りやすいコーナーでも正確なライン取りへ貢献している様子が伝わってくる。

2.0L水平対向エンジンの反応は、期待ほど鋭いわけではない。とはいえ、日常的な速度域での快適性や洗練性は高く、不満ない訴求力がある。従来のスバルXVより、確実に実力は上だ。

歓迎すべき多様性 ニッチでも好ましい選択肢

モデルとしての特徴が、変化したわけではない。同クラスに属する主流のクロスオーバーやハッチバックと比較すると、荷室は狭めだし、燃費が優れるわけでもない。インテリアは、部分的に安っぽいといえる。

だとしても、スバルというブランドを好むユーザーは、従来より実力を高めたクロストレックを選びたいと考えるはず。ニッチなモデルかもしれないが、英国の自動車市場に歓迎すべき多様性をもたらす、好ましい選択肢だ。

スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)
スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)

クロストレックへ、共感するという英国人は少なくない。それは、冬が厳しい北部のスコットランドに限らないだろう。

◯:比較的手頃な価格で、天候や路面を問わない走破性を得られる 不満のないオンロードでのマナー
△:少しパワー不足なe-ボクサー 燃費と内装、荷室が平均を超えていない

スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)のスペック

英国価格:3万6290ポンド(約675万円)
全長:4495mm
全幅:1800mm
全高:1600mm
最高速度:197km/h
0-100km/h加速:10.8秒
燃費:13.0km/L
CO2排出量:174g/km
車両重量:1630kg
パワートレイン:水平対向4気筒1995cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:135ps/5600rpm
最大トルク:18.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:CVT(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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