悪路の後はサーキットでドリフトだ! レンジローバー・スポーツ SVへ試乗 世界一多能なクルマを更新

公開 : 2024.03.02 19:05

BMW譲りの4.4L V8ツインターボは635ps

エンジンは、BMW譲りの4.4L V8ツインターボ。最高出力635psで、最大トルクは、ローンチコントロール時に81.4kg-mを発揮する。通常の走行時は76.3kg-mになだめられるが、それでも不足はないだろう。

トランスミッションは8速オートマティックで、四輪駆動。ステアリングレシオは17.5:1 から 13.6:1へクイック化され、後輪操舵システムも装備する。

レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(欧州仕様)
レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(欧州仕様)

ということで、まずはオンロードから。ステアリングの反応が想像以上に鋭く、少しの慣れが必要なことは否めない。一般的に大きなSUVには、小さくないボディロールと調和するように、穏やかなレシオが与えられることが多いためだ。

スポーツ SVの場合、反応は極めて機敏。ボディロールも抑制され、どこかよそよそしい印象を受けた。

乗り心地も、SUVへ想像するほどしなやかではないが、ドライブモードで大きく変化する。コンフォート・モードを選べば、明確にソフトへ転じる。路面のうねりに対し、ある程度のボディの動きも伴う。

ダイナミック・モードを選べば、洗練された印象を保ったまま明確に引き締まる。さらに、ドライブモードはカスタマイズ可能。サスペンションはダイナミックのまま、ステアリングは軽めで、パワートレインはマイルドという組み合わせが、ベストに思えた。

この状態なら、スポーツ SVは信じられないほど素晴らしい。インテリアの雰囲気も、驚くような価格に対し、充分な説得力があるように思う。

サーキットもオフロードも見事に対応

続いてサーキットへ。レンジローバーをコース上で見かける場面は英国でも少ないが、言葉を失うほど見事に走ってみせる。実際の対応力の高さでいえば、ポルシェカイエン・ターボGTの方が勝るとしても、それ以外の能力で届いていない。

スポーツ SVは、2485kgを感じさせない勢いでタイトコーナーを旋回。ボディの中心に回転軸があるように身をこなし、操縦次第ではドリフトにも興じれる。大きなSUVには酷だと思えるような扱いを、圧巻なほど許容する。

レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(欧州仕様)
レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(欧州仕様)

オフロードコースでは、人間が立っているのがやっとのような斜面でも、難なくクリア。唯一、軽くない車重が影響してか、トラクション不足の場面はあったが。

スポーツ SVほど、幅の広い動的能力を備えるモデルは、今の量産車では思い当たらない。フォード・レンジャー・ラプターやケータハム・セブンなら、より安価で、それぞれの得意分野で優れた走りを披露するかもしれないが、不得意な領域も小さくない。

多能性を高次元で叶えた、レンジローバー・スポーツ SV。世界一のオールラウンダーだと思う。

レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(欧州仕様)のスペック

英国価格:18万5360ポンド(約3448万円)
全長:4946mm
全幅:1990mm
全高:1820mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.0-8.5km/L
CO2排出量:267-282g/km
車両重量:2485kg
パワートレイン:V型8気筒4395cc ツインターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:635ps/6000-7000rpm
最大トルク:81.4kg-m/1800-5850rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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