これは1台満足EVだ! ボルボEX30は、サスティナブルでもガマンいらずの「使える」EVだった

公開 : 2024.03.18 17:45

・昨年6月に発表されたEX30に試乗
・日本の道路事情に適した「ボルボ最小EV」
・再生材、天然素材を多用した内装に特徴

ボルボ入魂の「ジャストサイズ」EV

3月上旬、ボルボ最小のBEVとして注目されるEX30のメディア向け試乗会が、ようやく開かれた。

AUTOCAR JAPANが最初にEX30の記事を掲載したのは昨年1月で、正式発表され姿があらわになったのは昨年6月。同月中に、青山のボルボ・スタジオ東京にて実車撮影の機会があたえられた。ここまでは実にスムーズ。

ボルボEX30試乗会
ボルボEX30試乗会    ボルボ

ここからが長かった。部品供給の遅れで本国でのデリバリーが延び、日本導入にあってはローカライズに想定以上の時間を要したのだという。大勢が待ちわびたEX30のドライブがかなうこの日、試乗会はEX30のプロダクト説明から始ま……らなかった。

プレゼンはまず「持続可能性」をキーワードに、ボルボの事業運営から。2025年までにリサイクル素材やバイオ素材の使用率を高めていき、2040年には完全な循環型ビジネスを構築する。さらに、水力発電の電力で稼働するバッテリー工場を建設しており、スウェーデン企業3社と合同で化石燃料を使わず生産する鉄鋼を開発中……と続いた。そのあとに、EX30のプロダクト説明がはじまった。

これはもう、実際に触れて乗ってみて判断するしかない! プロダクト説明の進行も、心なしか駆け足に。そうこうしているうちに、さあ、いざ試乗だ。

かぎられたディテールに工夫が宿る

実車の印象は「思ったより小さいな」

スクエアなボディに四隅に配されたタイヤで、写真でみるかぎり存在感のあるフォルム。でも実寸は全長4235mm、全幅1835mmに抑えられていて、これまでのボルボ車の伸びやかなスタイリングとは違い、ぎゅっと凝縮されたカタマリ感のあるプロポーション。

ボルボEX30試乗会
ボルボEX30試乗会    ボルボ

試乗車の鮮やかなソリッドのイエローも相まって、ニューモデルという以上のフレッシュさを感じられる。

乗り込んでみても今までのボルボ車とは違う。中央の縦長のディスプレイこそ見慣れたものだが、既報のとおり、物理スイッチやダイヤルの類いはほぼ見当たらない。ダッシュボードの奥にはハーマン・カードンのロゴが輝くサウンドバーが存在感を放つ。

センターコンソールには、引き出し式の小物入れが。これは格納できる仕切り板によりドリンクホルダーと兼用可能なほか、引き出す量によって1人用と2人用を兼用するというところまで考えられている。インテリアは、余計なディテールを増やさずに、1つのものにいかに複数の役割をもたせられるかに知恵が絞られているという印象だ。

そもそもの物量を減らし使用するマテリアルの使用量をおさえる。さらに、限られたパーツの1つ1つを、リサイクル素材や自然素材によって構成する。そこにいかにもな「再生品」のニオイを感じさせないのは、新世代のボルボが蓄積してきた造形のうまさが生きているからに他ならない。

EX30のインテリアからは、ボルボがサスティナビリティにかける強い思いが見て、そして触って伝わってきた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事