【第9回】浜先秀彰の絶対的カーグッズ!:四半世紀を超えて愛される『楽ナビ』進化の軌跡
公開 : 2025.06.04 17:05
AUTOCAR JAPANのカーグッズ情報を担当する浜先秀彰が、商品選びのコツや業界の気になる話を月イチで紹介。今回は、パイオニア『楽ナビ』の歴史を、1998年の誕生から振り返ります。
高嶺の花のカーナビをより身近に
カロッツェリアのスタンダードシリーズとなるカーナビが『楽ナビ』です。ベストセラーといえるほど支持されているだけに、読者の皆さんの中にも現ユーザー、元ユーザーという方は少なくないのでは? つい先日にも、2025年モデルがリリースされたばかりです。今回はそんな『楽ナビ』の歴史について振り返ってみたいと思います。
カロッツェリアが1990年に世界初の市販GPSカーナビをリリース。その後はさまざまなカーAVメーカー、家電メーカーが続々と市場に参入し、1990年代中盤以降は10社以上が高機能化を競って新製品を投入する『カーナビ戦国時代』となっていきました。

カロッツェリアでも1997年、当時の新メディアであったDVDを他社に先駆けてカーナビに搭載し、『サイバーナビ』と名付けたハイグレードシリーズを誕生させます。
しかし、カーナビは高性能になるほど操作が複雑になり、価格もグングンと高くなっていきました。一般ユーザーにとっては手を出しにくいマニアックな存在となりつつあったのです。
もちろん技術的な進化は必要なのですが、一方でパイオニアは「今後カーナビはカーライフに欠かせないアイテムになるのだから、もっと多くの人に向けた商品にならなくてはいけない」と考えていました。そしてサイバーナビとはまったく方向性の違うファミリー層を意識した『楽に使える』、『楽しいカーライフ』をコンセプトとした第二のシリーズ、『楽ナビ』を1998年に誕生させたのです。
進化の過程には試行錯誤もあり
楽ナビ初代モデルとなったのは『AVIC-500』で、価格は18万8000円。今のカーナビから考えれば高価に感じるかもしれませんが、当時の上級モデルに比べれば4~5万円程度安い設定です。
上級であるサイバーナビの多くの機能の中から、楽ナビに向いている機能を抽出し、『ボイスコントロール』や『高性能CPU』、『詳細市街地図』などを搭載。

ただし、本体サイズが大きかったり、画面はワイド(横長)ではなく4:3の比率だったりと、コストダウンのためにガマンする部分もありました。
機能面では、起動すると最初に「どちらまで行きますか?」とカーナビが問いかけてくる画期的な仕掛けもありましたが、思うように人気を得られず、1年後には早くも改良を施した『AVIC-520』がデビューすることになります。
このとき新たに導入されたのが、リモコンに装備された『お出かけボタン』で、とりあえず押せば使い始められるため、操作がより簡単でわかりやすくなりました。これ以降、楽ナビの象徴的な機能となります。
さらに、画面サイズは一般的なワイド比率(ただしサイズはやや小さめの6.5インチ)へと変更。これらの改良が功を奏して、この2代目モデルからユーザーを着実に獲得していきます。
その後、2001年には、ナビデータを充実させるためにメディアをDVD化しながらも、価格を15~17万円程度に値下げして、コストパフォーマンスを一段と向上させた『AVIC-DR2000』がデビュー。岸谷五朗さんをテレビCMに起用した効果も相まって大ヒットを記録し、人気を不動のものとします。
さらに2003年には、ファミリー層のニーズに合わせて後席モニターのキッズモニを付属したモデル、2004年には、市場のトレンドに合わせてAV一体型モデルも選べるようになりました。



