ビッグモーター以下! 前代未聞! 旭川トヨタの「封印不正」はどれくらいダメなこと?

公開 : 2024.04.09 17:45

ビッグモーター以下といわれる理由

「ビッグモーター以下」とはどういうことか。

封印不正の取材を進める中でBM元板金工場のスタッフに修理後の封印について聞いてみたところ、後部バンパー修理のためにナンバープレートの封印を外して「再封印」する際には指定業者にお願いしていたという。

移転登録後のナンバー変更時も封印の最後は有資格者によって行われる
移転登録後のナンバー変更時も封印の最後は有資格者によって行われる    加藤久美子

その証拠に2023年春に封印の件でやり取りをしたLINEのスクショを送ってくれた。

現場責任者「再封印の依頼はしていますか?」
修理スタッフ「再封印依頼しておりません。見積にも計上しておりません」
現場責任者「法律的にNGです。どうするんですか?」
修理スタッフ「今すぐ(再封印を専門業者に)依頼いたします」

まだ保険金不正請求がメディアで報道される前の話で、伊藤忠支援に関わる「コンプラ最優先!」の指令を出すはるか前である。

実際にビッグモーターで修理作業に携わっていたAさんいわく
「修理で封印を外すことは良くありましたが、外した封印を再利用することは法律違反ですから、封印取り付け業者にすべて依頼して取り付けてもらっていました。今はどうかわかりませんが、取引があったディーラーでも封印を壊さないよう綺麗に外す『封印外し』などを使って外して再利用していましたね。メルカリでは再封印のための「封印12個」セットなども販売されています。」

ビッグモーターでは、全国数か所の店舗でナンバープレートを付けずにBIGMOTORと書かれた化粧プレートだけで公道走行していた事例もかつて問題になったが、修理が終わったあとの「再封印」については厳格に管理されていたようだ。となると、旭川トヨタの封印不正はビッグモーター以下ということになる。

なお、動画共有サイトなどで「封印の外し方」「自分でできる再封印のやり方」などを教えているチャンネルがあるが封かんごと裏側から外す形であってもオーナー自身が再封印することは道路運送車両法違反となる。こちらも、国交省自動車情報課に確認したところ

「封印を外した状態での走行は違反となるため運輸支局まで仮ナンバーをつけるか積載車に載せるかして運んでください。再封印は100円前後の部品代だけで行えます」とのことであった。一番簡単で手間がかからないのは、必要な書類をそろえてナンバーフレームの取付けを運輸支局の敷地内で行い、そのまま「再封印」をしてもらうことだろう。

旭川トヨタに関しては国交省が現在、厳しく不正行為の調査を行っている。やがて「前代未聞の封印不正」等に関して行政処分が下されるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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