韓国キア「需要変動に対応」 EV販売の鈍化を受けハイブリッド車強化へ 5年以内に9車種導入

公開 : 2024.04.09 06:05

ヒョンデ・グループ傘下のキアはEV需要の軟化を受け、ハイブリッド車を強化する方針を打ち出した。2028年までに9車種を導入する。最終的なEV販売目標に変更はない。

EV鈍化、ハイブリッド車の需要増に対応

韓国の自動車メーカーであるキア(起亜自動車)は、世界的なEV需要の軟化を受け、今後数年間でハイブリッド車を増やす計画だ。

キアは4月4日の投資家向け年次カンファレンスで「EVの需要変動に対応」し、2028年までに「世界の主要モデルライン全体」で9車種の新型ハイブリッド車を発売予定としている。

キアの主力ハイブリッド車の1つ「スポーテージ」
キアの主力ハイブリッド車の1つ「スポーテージ」

具体的にどのモデルラインをハイブリッド化するのか、またマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)がどの程度含まれるのかについては明らかにしていない。

2030年までにEV販売を年間160万台に拡大するという目標に変更はないが、「景気後退、補助金削減、充電インフラの不足」により、EV販売の伸びは鈍化していると認めた。

2030年のキアの世界販売台数のうち、EVの占める割合は2024年の10%(推定値)から38%に上昇すると予測。ハイブリッド車も14%から20%に増加する見通しだ。全体では、2030年までに世界販売台数の58%、つまり約248万台が電動化車両になると推定される。

しかし、その割合は地域によって大きく異なる。例えば、米国とカナダでは2030年の販売台数の35%がハイブリッド車になるという予測だが、EUではわずか12%にとどまる。本拠地の韓国では43%と大きな割合を占める。

現在、キアの中国でのハイブリッド車販売比率はわずか1%にすぎず、2030年までに販売を停止し、EVと内燃エンジン車の販売比率を53:47にする。

キアはまた、製品の「多様化」を目指して、「パワーと燃費効率を向上させた」新世代のハイブリッド・パワートレインを開発すると発表した。

この新しいパワートレインには、「小型車および中型車」用と「大型車」用の2つのバージョンがある。

「コスト競争力と生産の柔軟性を確保するため」、新しいパワートレインを既存の内燃エンジンと並行して生産する。

キアのホ・ソンソン社長兼CEOは声明で、次のように述べた。

「キアは、2021年のブランドリニューアルの成功に続き、グローバルな事業戦略を強化し、革新的なEVラインナップの確立を進め、持続可能なモビリティ・ソリューション・プロバイダーへの転換を加速する」

「モビリティ市場の変化に効果的に対応し、中長期的な戦略を効率的に実行することで、お客様、地域社会、グローバル社会、環境に対するブランド・コミットメントを強化していく」

キアはハイブリッド車を増やす方針だが、今後もEVを拡大し続ける。2026年末までに、EV2、EV3、EV4、EV5、改良新型EV6、EV9 GTの6つのニューモデルを投入する。

一方、2025年後半には電動商用車(PBV)の新ラインナップを立ち上げ、中型バンのPV5(2026年初頭に欧州で発売予定)を皮切りに、2027年には大型バンのPV7も投入する。2030年までに25万台のPBV販売を目指している。

キアによると、2025年に生産開始予定の新世代のEV用バッテリーは、現行モデルと比べてエネルギー密度が7%向上し、コストも10%削減できるという。

また、「NMC(ニッケル・マンガン・コバルト)や、より安価なLFP(リン酸鉄リチウムイオン)」を含むさまざまな種類のバッテリーを、市場ニーズにあわせて使用していく計画だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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