【独自】税関での盗難車摘発は年間5台! 「おもしろレンタカー」34GT-R発見が奇跡とされる理由

公開 : 2024.03.26 17:45

・盗まれたR34スカイラインGT-Rが奇跡的に発見された
・「おもしろレンタカー」が貸し出している車両でレンタル中だった
・もう1台同じ34GT-Rと計2台が横浜港のコンテナの中からX線装置によって発見された

1月末に盗難された白い34GT-Rが奇跡の生還!

今年1月末、千葉県野田市内のホテル駐車場で盗まれたR34スカイラインGT-Rが2月半ばに奇跡的に発見され、3月18日にオーナーのもとに戻ってきた。

右側のリアクォーターガラスが割られ、キーシリンダー周りも破壊。ドラレコ周りの配線は引きちぎられており、なぜかブレーキキャリパーやブレーキタイヤのボルトが一部抜かれたり、破壊されたりしていたものの解体されることはなく外観上はほぼ「丸車」の状態で発見された。

盗難された34GT-R発見が「奇跡」といわれる理由
盗難された34GT-R発見が「奇跡」といわれる理由    加藤博人

ナンバープレートは取り外されていたが、不思議なことに車内には車検証がそのまま残されていた。車台番号が削られたあともない。

この34GT-Rは日本車好きの外国人観光客に絶大な人気を誇る「おもしろレンタカー」が貸し出している車両で、盗まれたときも1月31日夕方から1泊2日の予定でアメリカから来た観光客がレンタル中だった。

2022年10月にはF1王者ルイス・ハミルトンがお忍びでレンタルしており、2023年9月には映画グランツーリスモのモデルになったレーサー、ヤン・マーデンボロー氏も「守谷GTグランプリ2023」で全開走行を披露している。世界的な有名レーサーにも多くの感動と驚きを与えてきた個体なのである。

オーナーである「おもしろレンタカー」の齊藤社長は盗まれてすぐ被害届を野田署に出してSNSで拡散しており、その日の夜、早速有力な目撃情報が届いた。茨城県坂東市在住20代男性の「くーさん」が「X」にて34GT-Rの写真付きで投稿したのだ。

「RB26」サウンドに気づいて外に出たら目の前を34GT-Rが爆速で通過

くーさんは31日夜に自宅でくつろいでいたときに、遠くから聞こえてくる「RB26」独特のサウンドに気づいた。

「もしかして!」と思いすぐに外に出たところ。なんと自宅前の道路を白い34GT-Rが走っていったのである。すぐに後を追って数キロにわたって追跡したが窃盗犯が赤信号を突破したことで見失ってしまった。

盗難された34GT-R発見が「奇跡」といわれる理由
盗難された34GT-R発見が「奇跡」といわれる理由    加藤博人

「34」から「38」にナンバープレートの数字が替えられており、おもしろレンタカーのステッカーもはがされていた。

くーさんは安全な場所にクルマを停めて110番通報したが、1時間待ってもパトカーが約束の待ち合わせ場所に来ないなど野田署は信じられない対応をしている。

その後、2月上旬まで目撃例はいくつかあったが、確実な証拠となる写真や動画はなく、警察からの連絡もなし。おそらく解体されすでに海外に出ているのだろう…斉藤社長をはじめ関係者の間では絶望的なムードが漂いはじめていた。

事態が動いたのは盗難から約3週間経過した2月20日である。斉藤社長のもとに山手警察署から大朗報が届いたのである。それは、もう1台同じ34GT-Rと計2台が横浜港のコンテナの中からX線装置によって発見されたという連絡だった。

なお、どこに向かうコンテナなのか? 輸出業者は誰なのか? 犯人に関する情報は全く教えられないまま、連絡から約1か月後の3月18日斉藤社長に無事戻された。筆者を含むメディア関係者(TV3番組)も立ち合い、横浜港のふ頭内で引き渡された。

GT-Rのエンブレムには粘着テープがはられており、なんと室内には犯人がガラスを割った時に手に巻いたと思われる衣類までが残されていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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