全体的に「イイクルマ」 シャオペンG6 ロングレンジへ試乗 モデルYを徹底ライバル視

公開 : 2025.02.13 19:05

清々しく速い加速力 少し硬めの乗り心地

今回試乗したのは、シングルモーターのロングレンジ。スタンダードレンジから強化された駆動用モーターがリアに載り、最高出力は286psある。息が詰まるほどの勢いではないが、出だしから爽快に速い。

ドライブモードは3種類。その1つ、エコ・モードが普段使いでは最も心地良い。アクセルペダルへの反応が穏やかで、扱いやすい。ただし、最高出力も僅かに制限される。ノーマル・モードも充分に自然。穏やかで滑らかだ。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)

スポーツ・モードは、アクセルレスポンスが過激になり、モニターのグラフィックがスポーティなものへ変化する。ローンチコントロール機能も備わる。

印象としては、スタンダードレンジの257psでも充分だろう。これに87.5kWhの駆動用バッテリーを組めれば、理想的なG6へ仕上がりそうだが、その設定はない。

回生ブレーキは、タッチモニター上で強さを選べる。ワンペダルドライブには対応しないが、かなり強力なモードから、惰性走行を許すモードまである。ブレーキペダルには、若干弾力のような感触があるものの、効きは漸進的だ。

乗り心地は少し硬めなものの、不快なほどではない。荒れた路面でも、モデルYより落ち着いているように感じられた。

タイヤのグリップ力は高く、トラクション・コントロールの介入も巧妙。ステアリングホイールへ伝わる感触は非常に薄く、運転の楽しさを醸し出すとはいえないが。

テスラと同等の機能をより安価に

タイトなカーブへ突っ込んでみると、ボディロールは大きめ。ステアリングの反応は予想しやすく、機敏ではないものの、車線の中央を導きやすい。洗練性は低くなく、小回りも充分に利き、ファミリーSUVとして大きな不満はないといえる。

高速道路を短時間走らせてみたが、風切り音やロードノイズは最小限。運転支援システムの仕事ぶりも、完璧ではないとしても、目立った不備はなかった。リラックスして長距離を巡航できそうだ。

シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)
シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)

試乗で表示されていた電費は、シングルモーターのロングレンジで6.1km/kWh。比較的平坦な場所が多かったとはいえ、かなりの高効率といえる。単純計算で、525kmほど走れることになる。

全体的に「イイクルマ」といえる、G6。モデルYでは、乗り心地やギクシャク気味なアクセルペダルの反応、ワンペダルドライブの強要などへ小さな不満を感じたが、そんなことはなかった。ライバル視したテスラと同等の機能を、より安価に提供できている。

客観的な仕上がりは悪くない。技術的な競争力も低くない。訴求力のある、キャッチコピーへ繋がる特長はないとしても。フェイスリフト版となる、モデルY ジュニパーより先に英国市場へ投入されたことが、強みとして働くかもしれない。

◯:航続距離の長さ 急速充電の速さ モデルYより高いコストパフォーマンス 高品質で広々とした車内
△:特長のないデザイン 少し硬めの乗り心地 タッチモニターへ機能が集約されすぎ

シャオペンG6 ロングレンジRWD(英国仕様)のスペック

英国価格:約4万3000ポンド(約839万円/予想)
全長:4891mm
全幅:1937mm
全高:1680mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:569km
電費:5.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2025kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:87.5kWh
急速充電能力:280kW
最高出力:286ps
最大トルク:44.8kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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