「フェラーリを参考にした」 ルノー、旧車向けの新サービスを開始 レトロモデルに注力

公開 : 2025.02.13 18:05

ルノーはクラシックカー向けの新たなサポート体制をグローバルに構築する計画だ。同社のレガシーに焦点を当てることで、中国から参入してくる新興企業に対抗する構えだ。

新興企業に対抗 「レガシー」を重視

ルノーは、クラシックカーを取り扱う専門技術者やサプライヤー向けの新たな認証制度を導入する。フェラーリ・クラシケやポルシェ・クラシックのプログラムに相当するもので、歴史ある自社モデルの魅力と価値を高めることを目指している。

特定のモデルやサービスについては、異なる整備工場が推奨されることになる。例えば、1970年代のクラシックなルノー5のオーナーは、そのメンテナンスに精通した整備士を紹介される。

新サービスはまずフランスで開始されるが、グローバル展開も計画されている。
新サービスはまずフランスで開始されるが、グローバル展開も計画されている。

歴史的モデルの宣伝と商品の販売に特化したルノーの「ザ・オリジナルズ」部門の拡張として、この認証はまずフランス国内の8つの拠点に適用される。認定整備工場を全国25か所に増やし、国内に住む80%の人々の100km以内に専門家がいる環境を整える計画だ。その後、グローバルにも展開を目指す。

ルノーはこの新サービスとともに、クラシックモデルのオリジナル修理マニュアル50冊をオンラインで無料公開し、さらに一連のハウツー動画も公開している。

マーケティング責任者であるアルノー・ベローニ氏は、パリで開催されたクラシックカーイベント『レトロモビル』で、「ポルシェやフェラーリを参考にしている。彼らはコレクターを本当に大切にしているからだ」と語った。

ベローニ氏は、ルノーの伝統を重視することは、中国から参入してくる若くて競争力の高いブランドへの対抗手段であると示唆した。「伝統のない強力なブランドは世界に存在しない」からだ。

「あらゆるところから若いブランドが生まれてきているが、彼らにはレガシー(伝統や遺産)がない。確かに成功はできるだろうが、レガシーがあればもっと強くなる。レガシーを尊重し、レガシーについて語り、レガシーを活かせば、より強くなるのだ」

ブランドを強化するだけでなく、経済的なメリットもあるとベローニ氏は説明する。

「経済学者は、レガシーは企業の大きな資産の1つであり、企業に価値をもたらすものであると認めている。同時に、現在のクルマにも価値をもたらす。レガシー車に関するイベントを行うたびに、同じシリーズのすべてのクルマの価値が向上するのだ」

「ルノー17のレストモッドモデルを製作したところ、ルノー17の価値が高まり、17とは何の関係もない現在のルノー車の価値も高まった」

これは、レトロモデルの復活に力を入れているルノーにとって、特に重要な意味を持つ。ルノーは5に続き、新型4もまもなく発売し、来年にはトゥインゴを投入する予定だ。

ベローニ氏は、「人々が欲しがるクルマを作れるのに、人々が欲しがっていないクルマを作る理由はない」と力を込める。

「それが我々の仕事のやり方だ。誰もがルノー5を求めていたので、我々はルノー5を作った。誰もがルノー4を求めていたので、我々はルノー4を作った。そして、エスタフェットを求める人々がいたので、我々はエスタフェットを作るつもりだ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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