【全20階のホンダイズム】ホンダ青山ビル、建て直し前に見学ツアー実施

公開 : 2025.02.16 08:05

カリスマ亡き後もホンダがホンダであるために造られた

地上17階、地下3階のホンダ青山ビルは、建物をセットバックし、社屋の前で炊き出しができる。これもホンダが考える安全思想の表れで、防災、安全に対する細心の配慮がなされているのだ。

マン・マキシマム メカ・ミニマムの発想でオフィス(1本の柱以外は自由に変更できるので時代に合わせてレイアウト可能)は広く、機械設備は最小空間となっている。

倉方先生は、「ホンダがただの大企業ではないという空気をホンダ青山ビルが作った」と解釈。
倉方先生は、「ホンダがただの大企業ではないという空気をホンダ青山ビルが作った」と解釈。    高桑秀典

デザイナーとして椎名政夫氏を抜擢したインテリアは、住宅的な造形の中に合理性と美を兼ね備えており、モダンでセンスがいい。

16階にある応接室は品があり、ホンダらしい迎賓館として昔の洋館が持っていた『もてなし感』を出しており、チャールズ皇太子とダイアナ妃が公式訪問時に休憩したことは有名なエピソードだ。会議室も16階にあり、ここは大衆性と知性が融合。世俗的な雰囲気となっている。

社長や役員のための個室はなく、あるのは役員室という名の大部屋で、こちらには共用テーブルが並んでいた。

本田宗一郎氏とナンバー2の藤沢武夫氏がまだ健在だった頃に建てられたホンダ青山ビルは、細部まで工夫して造られており、倉方先生によると「ホンダが建築物を造るとこうなる」という好例で、事務を合理化し、思考所として運用され、接遇施設にもなっていたそうだ。

たくさんの候補地の中からファッションの街である青山を選んだホンダは、遊び心溢れるクルマをリリースしてきた。新社屋でも魅力的なモデルが披露されるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」

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