EVという意識ではなく、狙うは相棒感のあるキャラクター 『ホンダN-ONE e:』内外装デザイナーに聞く

公開 : 2026.04.27 12:05

軽自動車市場にBEVが次々と登場する中、ホンダでも『N-VAN e:』を皮切りに『N-ONE e:』も登場しています。そのデザインにはどんな狙いがあるのでしょうか? 内外装の担当デザイナーに内田俊一が伺いました。

ドア以外のボディパネルは専用

ホンダ軽自動車BEVの第2弾、『N-ONE e:』。そのデザインはN-ONEをモチーフとしながらも、ドア以外のボディパネルは専用になっているという。そこで内外装を担当したデザイナーにそのこだわりを聞いてみた。

何気ない毎日を生き生きと活発にしてくれる、日常のパートナーであってほしいという思いを込めた『e: Daily Partner』というN-ONE e:のグランドコンセプト。

グランドコンセプトは、日常のパートナーであってほしいという思いを込めた『e: Daily Partner』。
グランドコンセプトは、日常のパートナーであってほしいという思いを込めた『e: Daily Partner』。    本田技研工業

エクステリアを担当した奥本敏之さんは、「気負いなく身軽にクルマと接したい、乗りたい、それに乗ってどこでも行きたいという気持ちにさせたい」という思いでデザインしたという。

BEVをデザインする際は、どうしても低重心感を強調し、どっしりとしたスタンスを表現しがちだ。

「N-ONE e:はタイヤの四隅感をしっかりと持たせながらも重心を上げています。そうすることで、身軽な軽やかな感じを表現しました。気軽にクルマに接してもらい、『一緒に出かけるパートナー』にしたかったんです」

ある程度はBEVであることも意識しなかったのだろうか。奥本さんはBEVという意識でなく、「相棒感のあるキャラクターにするにはどうしたらいいか」を考えたという。その過程では様々なアイデアはあったようだ。

「どこかトゲトゲしかったり、ちょっと個性が強すぎたり。そこからたどり着いたのは、まず『丸目』でした。我々のヘリテージでもありますし、一番人の心に刺さるというか、キャラクターとして染み込んでくる感じです。それを大事にしようと思いました」

難しかった丸目から繋がる表情づくり

その丸目から繋がる表情づくりは、最もこだわったところ。実は若干ではあるが、以前販売されていた乗用車BEV『ホンダe』も意識したようだ。

「単純にモチーフだけを取り入れてしまうと、サイズの違いもあり、目つきが悪くなってしまうんです。しかも、ヘッドライトの上のボンネットの絞り方や角度をちょっとでも変えると、怒って見えたり、情けなく見えたり。そこでこの『まぶた』と呼んでいるヘッドライトの上の部分を何百回も調整して、表情が適切になるようにトライしました」

N-ONE e:のエクステリアデザインを担当した奥本敏之さん。
N-ONE e:のエクステリアデザインを担当した奥本敏之さん。    内田俊一

そんな表情決めの裏話を、奥本さんはこう話す。

「N-ONE e:は女性をメインに考えていますので、どちらかというと小柄の方の目線で見て愛らしく見えるように。スーパーワンは男性に向け、ちょっと高い位置から見ると精悍に見えるようにデザインしています」

N-ONE e:では本来、バックドアは変更しない予定だったという。しかし、フロントフェンダーからボンネットまわりのラインのボリューム感を変えたことで力強さは生まれたものの、その結果、バランスでリアが弱く見えてしまった。

「そこで、リアバンパーのロアを絞りながらタイヤを出し、スタンスを良くしながら、バックドアのエンブレムまわりに一番張りを付けることでぐっと重心を上げて見せています。バックドア変更は、デザインからお願いしました。ですからパネルだけでなくガラスも違います」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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