クルマ漬けの毎日から

2026.05.06

仕事でロケ地へ行ったところ、懐かしいクルマに再会。かつてジュネーブまで長距離ドライブしたことのある1912年式の英国製『T型フォード』です。

T型フォードが最新フォードを助けた!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

「英国製」の懐かしいT型フォード

「英国製」の懐かしいT型フォード

早朝、フォス街道を快走し、AUTOCARの姉妹誌『クラシック&スポーツカー』の取材ロケを手伝うために現場へ向かった。

この日は、10台もの大規模な撮影が行なわれたが、嬉しいことに、そのなかに私にとって想い出の1台、1912年式のT型フォード(トーピード型)の姿を見つけた。

30年ほど前、コリン・グッドウィン(自動車ジャーナリスト)と私は、登録ナンバー「DN 362」のこのT型フォードを運転してロンドンを出発し、スイスのジュネーブ・モーターショーへ向かったのだ。

そして、プレスデーに十分間に合うタイミングで現地に到着した。当時、毎年3月に開催されていたジュネーブ・モーターショーは、活気に満ちていた。

会場に到着した私たちは、フォードの経営トップだったジャック・ナッサー氏を乗せて、レマン湖周辺をドライブすることになった。

この登録ナンバー「DN 362」は、イギリスで生産された現存するT型フォードのなかで、2番目に古い個体。当時はフォードのヘリテージ・コレクション部門の責任者、ロン・スタントン氏が所有していた。

クロプリー編集長の想い出のT型フォード「DN 362」は、近年はブリティッシュ・モーターミュージアムでも展示。マンチェスターで生産されており、イギリス自動車業界の遺産でもある。

T型フォードでのロンドンからジュネーブへの4日間の旅は楽しいドライブだったが、とりわけ2つのことを鮮明に覚えている。

1つは、私たち2人はT型フォードとの旅を大いに楽しんでいたので、ジュネーブに近づくにつれて、スピードを落として走り、この旅が少しでも長く続くように運転していたこと。

もう1つは、フォード・ギャラクシーがこの旅に同行していたこと。T型フォードに何かトラブルが起きた場合に備えて、フォードは最新のギャラクシーをサポートスタッフ付きで派遣してくれた。

しかし、この旅で起きた唯一の故障はT型フォードではなく、ギャラクシーだったのだ(一晩、室内灯を消し忘れ、バッテリーがあがってしまった)。

翌朝、なんとT型フォードが、最新のギャラクシーをジャンプスタートさせることになった。

皮肉な話ではあるが、いまも忘れられない想い出となっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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