アストン・マーティン・ラゴンダ・タラフに右ハンドル仕様

公開 : 2015.02.28 22:55  更新 : 2017.06.01 02:11

アストン・マーティン・ラゴンダ・タラフは、当初中東市場向けとして考慮されていたが、新たに右ハンドル仕様のプロダクションを決定した。また、中東と英国のみならず、EUとシンガポール、南アフリカを含むワールドワイドなマーケットで販売されることも決定した。

アストン・マーティンのVHアーキテクチャーに基づき、V12ユニットを搭載するタラフは、つい先ごろ発表されたバルカンやヴァンテージGT3同様にアストン・マーティンのスペシャル・プロジェクト・ディビジョンによって製作されるクルマだ。ゲイドンの本部で製作されるボディはカーボンファイバー製で、そのインテリアはQ by アストン・マーティンのパーソナライゼーション・プログラムによって仕上げられる。

558psの5.9ℓV12ユニットは、ラピードSに搭載されるものと同じで、トップ・スピードは282km/hに達する。

ラゴンダ・タラフは、昨年後半に公式な写真が公開されており、現在は英国やオマーンでの公道テストを繰り返しているところだ。オマーンでは4週間に亘り22,500kmのテストが繰り広げられたという。その目的は、エア・コンディショナーが摂氏50°でもきちんと働くかどうかを見るためだった。このテスト結果は “予想以上に” きちんと作動することが確かめられたという。

ラゴンダ・タラフのオリジナルは、いうまでもなく1976年に発表されたウィリアム・タウンズ設計のV8ラゴンダ・サルーンだ。このラゴンダ・サルーンにインスピレーションを受けたボディ・デザインを、現在のVHアーキテクチャーと合体させ、V12エンジンとZF製の6速オートマティック・トランスミッションとを組み合わせたものガラゴンダ・タラフだ。

アストン・マーティンのデザイン・ディレクターであるマレック・ライヒマンは、「このモデルはOne-77やV12ザガートなどと同様、特別なアートとして考えられたものだ。そのスピリットは、前作のウィリアム・タウンズが手がけたラゴンダ・サルーンに通じる。ラゴンダのネームプレートを、この新しいサルーンにつけることができるのは、非常に誇らしいことでもある。」と語った。

オリジナルのラゴンダ・サルーンは、当時としては先進的なLEDディスプレイを持っていた。そういった先進性は、ラゴンダ・タラフにも受け継がれている。例えば、スーパーカーでないモデルの外板にカーボンファイバーを採用したこともそのひとつとして挙げられるだろう。

ラゴンダ・タラフは、以前One-77を作成したゲイドンの工場で制作されることとなっている。ここでは、以前£500,000(9,200万円)のCC100スピードスターを製作していた実績もある。実際にはQ by アストン・マーティンの担当となる。アストン・マーティンのスポークスマンもこのラゴンダ・タラフがQ by アストン・マーティンによって生産されるモデルであると話していた。

われわれは、その実際にプロトタイプの制作現場をワーウィックシャーの本部で見ることができた。側にはデザイン・ディレクターのマレック・ライヒマンも一緒だ。

ウェッジ・シェイプのラゴンダ・サルーンが生産を終えた約40年前には、誰もがこのラゴンダのネーミングが将来的に復活するとは考えていなかった。そして、その名前がSUVとして復活することになったとリークされ、その後、本来のスーパー・サルーンとして復活するとわかった時、多くのインダストリー・ウォッチャーは驚かされたものだ。

最初はA4の紙に描かれた “プロジェクト・コメット” というのが、ラゴンダ・タラフのスタートだった。ライヒマンも、当初はコメットというネーミングで生産されるものと思っていたという。そして、そのネーミングは、新しいスーパー・サルーンに相応しいとも考えてもいた。

全長5400mmというサルーンのデザインは、アストン・マーティンのデザイン・スタジオで18ヶ月という長い時間を掛けてスタートしたという。

「われわれは、新しいラゴンダ・タラフのターゲットを中東に絞った。というのも、オリジナルのラゴンダ・サルーンの60〜70%が現在も中東に生息しているというリサーチ結果があったからだ。それは、その中東のカスタマーがオリジナルのウィリアムズ・タウンズのウエッジ・シェイプに賛辞を送ってくれていると感じたからでもある。ラゴンダというネーミングは非常に大きなネーミングであり、戦前ではル・マンのウィナーであったこともある。デイビッド・ブラウンもアストン・マーティンを買い取った時に、ラゴンダのネーミングに固執し、ウィリアムズ・タウンズにその名前を冠したモデルの製作を依頼した。それが1976年のラゴンダ・サルーンだ。ラゴンダ・サルーンは、著しく低いルーフを持つ、当時最も車高の低い4ドア・モデルだった。大胆なインテリア・テクノロジーを備えた、美学とも言えるモデルであった。」とライヒマンは語る。

新しいラゴンダ・タラフは、注目に値する5.4m、正確には5396.5mmの全長を持つ。これは、ラピードよりも0.5m長く、ロールス・ロイス・ゴーストよりも僅かに数mm短いという値だ。ホイールベースは3189mmといサイズだ。このホイールベースの中には、素晴らしいインテリアが隠されているはずだが、プロトタイプのドアは開けられることはなく、残念ならがロックが掛かったままだった。

最初のスケッチから、最初のスケール・モデルができるまでおよそ2年の月日を必要とした。

「最初のモデルがお披露目された時の反応は “Wow” だった。」とライヒマンは回顧する。

「このクルマは、レトロ主義を懐古するためのものではない。そして、このラゴンダ・タラフをわれわれは “スーパー・スポーツ・セダン” と呼んでいる。」とライヒマン。

ラゴンダ・タラフは、アルミニウム製のVHプラットフォームに、カーボンファイバー-CFRP製のボディ・パネルを組み合わせた構造を持つ。印象的なのは、その液体のような表面だ。美しくプレスされた薄い鉄板のようにも思えるが、カーボンファイバー-CFRP製だ。そのフィニッシュをここまでのクオリティにまで引き上げたことは驚きに値する。

「実際にその表面を仕上げ、クオリティを上げるのは、実に終わりのない仕事だった。耐熱性ということについてはカーボンファイバー-CFRP製パネルは優秀かもしれないが、完璧なペイントワークを施すということについては、とても難しい素材だった。」とライヒマンは語った。実際、7コートの塗装が施され、21時間にわたる研磨によってこのレベルまで仕上げるのだという。一部の高価なモデルのみのマテリアルであったカーボンファイバーが、ここ数年でだいぶ一般的になってきたことも、こういった仕上げができるようになった一因だという。

ラゴンダ・タラフは3桁の数が生産されることになるが、現時点ではSOLD OUTという声は聞いていない。ファースト・デリバリーは今年中を予定している。

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