開きそうで開かないリアガラス(1) シトロエンGSにアルファスッド 流行へ乗り遅れたモデルたち

公開 : 2025.12.14 17:45

今では当たり前の大きなテールゲート ハッチバック台頭に反して、ボディへ固定されたリアウインドウ シトロエンGSにプジョー104、ランチア・ガンマまで 翻弄された10台をUK編集部がご紹介

ボディへ固定されたリアウインドウ

今では当たり前の、大きなテールゲート。フォルクスワーゲン・ゴルフトヨタカローラなどのハッチバックだけでなく、1970年代後半には流行の先端にあり、アウディ100 アバントやローバーSD1など、リフトバックと呼ばれるスタイルも登場した。

だが、半世紀前はまだ前衛的でもあった。ルーフから滑らかに繋がるテールを得つつ、リアウインドウが固定されたボディも一般的といえた。当時の上層部には、新しいスタイルを選ぶ勇気がなかったのかもしれない。コスト増を招くものでもあった。

アルファ・ロメオ・アルファスッド(1971〜1989年)
アルファ・ロメオ・アルファスッド(1971〜1989年)

今回ご紹介する10台は、そんな一例。市場の声へ押されテールゲートを獲得し、結果的に成功したモデルもある。だが、そのまま売れずに生涯を終えた例もゼロではない。

リライアント・レベル(1964〜1974年)

英国の小さなメーカー、リライアント社による2台目の四輪モデルが、レベル。ボディはFRP製で、サスペンションはトライアンフ譲り。ボディはハッチバック風ながら、当時はテールゲートの存在が一般的なものではなかった。

エンジンは、オースチン・セブンの技術をベースにした、アルミ製の4気筒。21.2km/Lという燃費が主張されたが、2600台の生産に留まっている。近年は価値が上昇中だ。

リライアント・レベル(1964〜1974年)
リライアント・レベル(1964〜1974年)

マニアな小ネタ:1975年から、テールゲート付きのキトゥンへ交代している。

シトロエンGS(1970〜1986年)

DSやCXより小型で、2気筒エンジンのアミより高級モデルに位置付けられていたGS。テールゲートと可倒式リアシートを与えるのに好適なモデルといえたが、当初は叶わなかった。5ドアのGSAが追加されたのは、1979年になってからだ。

しかし、セルフレベリング機能付きサスペンションに洗練されたスタイリングなど、強みは多かった。水平対向4気筒エンジンのほか、ロータリーエンジンも設定されていた。

シトロエンGS(1970〜1986年)
シトロエンGS(1970〜1986年)

マニアな小ネタ:GSの空気抵抗は小さく、Cd値は0.31とクラス最高水準にあった。

アルファ・ロメオ・アルファスッド(1971〜1989年)

アルファスッドへテールゲートが与えられたのは、発売から11年後。同じイタルデザイン社が手掛けたフォルクスワーゲン・ゴルフの支持へ推され、最終的に獲得している。

当初から販売が好調で、価格上昇を踏まえると、アルファ・ロメオは採用に消極的だったようだ。2ドアのスタイリングを見ると、そこまで遅れた理由へ疑問を抱いてしまう。

アルファ・ロメオ・アルファスッド(1971〜1989年)
アルファ・ロメオ・アルファスッド(1971〜1989年)

マニアな小ネタ:アルファスッドにはクーペのスプリントの他、3ドアのワゴン、ジャルディネッタも存在していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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