70年前の希少ジープも! 茂みに隠れたクラシックカー 20選(前編) ジャンクヤード探訪記

公開 : 2025.12.14 11:25

米国の巨大ジャンクヤードを巡り、スクラップ同然のクルマにレンズを向ける探訪記シリーズ。今回は、筆者がたまたま見つけた、ネット上にもほとんど情報が載っていないウィスコンシン州の「隠れ名所」を紹介します。

ネットにも載っていない秘密のヤード

筆者が廃車探しの旅に出かける時、いつもは目的地を正確に把握している。

米国にはまともなジャンクヤード(廃車解体場)がほとんど残っていないため、旅程を綿密に組む必要があり、移動距離が数百kmに及ぶことも珍しくない。それでも、入念な計画を立てたにもかかわらず、到着したヤードが数週間前に閉鎖され、在庫もすべてスクラップになっていたという事態も珍しくない。

ウィスコンシン州のジャンクヤードで見つけた興味深いクラシックカーを20台紹介する。
ウィスコンシン州のジャンクヤードで見つけた興味深いクラシックカーを20台紹介する。

しかし、時折、筆者がまったく認知しておらず、ネット上にも一切情報がないジャンクヤードに出くわすことがある。数年前にウィスコンシン州ブルース近くの州道40号線を走っていた時、まさにそんな経験をしたのだ。

『G&Gオートサルベージ(G&G Auto Salvage)』のオーナーは、なぜ赤の他人が自分のヤードを写真に収めたがっているのかまったく理解できない様子だったが、快く筆者を中に入れてくれた。

オーナーは16歳の甥を案内役に立ててくれた。こうして、筆者は夏の炎天下に数時間かけて茂みを歩き回り、素晴らしいクラシックカーを発見することができた。その一部を紹介しよう。

シボレー・ピックアップ(1954年)

ご覧の通り、敷地は草木に覆われており、この1954年式シボレーもまるで装飾品のように見える。ここに写っている車両に加え、周囲には無数のクルマが隠れており、探検には絶好の場所だ。ただ悲しいかな、生い茂った草木は蚊を引き寄せる。数時間過ごしただけで、筆者の腕は虫刺されだらけになってしまった。

シボレー・ピックアップ(1954年)
シボレー・ピックアップ(1954年)

キャデラック・クーペ・ドゥビル(1972年)

案内役の話では、この1972年式キャデラック・クーペ・ドゥビルが廃車になったのは、彼が110km/hでギアをバックに入れてしまったことが原因だという。ただし、ルーフを外したり、ホットロッド風の炎のペイントを施したりしたのは彼ではない。炎のペイントは1930年代に登場したが、本格的に流行したのは1950年代だ。

キャデラック・クーペ・ドゥビル(1972年)
キャデラック・クーペ・ドゥビル(1972年)

シボレー(1953年)

この1953年式シボレーは、ウィスコンシン州の夏の太陽を浴びて絵のように美しい。野の花に囲まれて、ここがジャンクヤードであるとは信じがたい。G&Gオート・サルベージの車両の約半分は、茂みに半分隠れてしまっている。

シボレー(1953年)
シボレー(1953年)

AMCグレムリン

AMCグレムリンは1970年から1978年まで生産されたが、このテールライトから判断するとかなりの後期型だ。グレムリンは経済性や速さ、美しさ、あるいは実用性の高さを歴史に残すことはないだろうが、間違いなく特徴的な1台である。

この異様な外観は、AMCジャベリンを切り詰めたために生まれた。発売当時、人々は「切り取った半分はどうしたんだ?」と疑問を抱いたものだ……。

AMCグレムリン
AMCグレムリン

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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