モダンなツートーンが標準 ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(2) 過剰設計のモノコック 不振だったクロームメッキの英国車

公開 : 2026.10.04 17:50

戦後の英国で、クルマの楽しさを再提供したヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン。ツートーンのモダンなボディに、戦前のサイドバルブ・エンジン。UK編集部が時代反映の1台を振り返ります。

ツートーン塗装が標準のカリフォルニアン

ヒルマン・ミンクスのサルーンは、ブラックかベージュの単色で塗られることが殆どだった。だがフェイズVIのクーペ、カリフォルニアンは、グレーやブルーの下半分に、ワインレッドやブラックのルーフといった、モダンなツートーン塗装が標準だった。

インテリアは塗装に応じてコーディネートできたが、英国価格は723ポンドと高く、ラジオやヒーターはオプション。4気筒サイドバルブ・エンジンには新型キャブレターが与えられ、最高出力は38psへ上昇し、エンジンオイルの消費が抑えられていた。

ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)
ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ブレーキは油圧で、サスペンションは前がウィッシュボーンとコイルスプリングを用いた独立懸架式。可動部のグリスアップは、3200km毎へ回数が減らされていた。

ミンクスはモノコック構造ながら設計は過剰といえ、車重は約1200kgと軽くなく、0-97km/h加速は34.0秒。最高速は111km/hだったが、現実的な巡航速度は90km/h前後と、速いクーペとは呼べなかった。燃費は、幸運なら10.5km/Lに届いた。

フェイズVIIIではオーバーヘッドバルブに

AUTOCARは、1953年8月に真新しいミンクス・フェイズVI カリフォルニアンへ試乗。全方向で優れた視界を評価している。だが、ブレーキはフェードしやすく、操縦性や快適性はタイヤの空気圧へ敏感だったようだ。

1954年に、ミンクスはフェイズVIIへ交代。カリフォルニアンはフェイスリフトを受け、リアフェンダーの形状が変わり、荷室の容量が増やされている。

ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)
ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

フェイズVIIIは1955年で、ミンクスはオーバーヘッドバルブ・エンジンを獲得。新開発の4気筒ショートストローク・ユニットは1390ccあり、最高出力は43psへ上昇していた。ホイールは15インチへ落とされたが、120km/h近くまで加速できた。

今回ご登場願ったミンクス・カリフォルニアンは、グレート・ブリティッシュ・カー・ジャーニー・コレクションが所蔵する、フェイズVIII。クリームとレッドの、ツートーン塗装が美しい。

先を読んだ運転が欠かせないブレーキの効き

リアウインドウは特徴的な3分割式で、鋭角に縁取られた、リアクオーターが優雅。ふくよかな造形のテールエンドへ、小ぶりなテールライトがプツプツと並ぶ。

キャビンは、フロントシートが分割式のベンチタイプ。背もたれの角度は、調整できない。ステアリングホイールは巨大で、全長4000mmしかないボディには不釣り合いに見えてしまう。リアシートにはアームレストが用意され、座り心地は良さそうだ。

ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)
ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアン(1953~1956年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ダッシュボードには、4速コラムMT「シンクロマチック」のシフトパターン。バッテリーの充電状態や、油圧なども確認できる。メーターパネルのフォントが、いかにもフィフティーズ。ウェスタン映画のポスターに、用いられていそうだ。

4気筒オーバーヘッドバルブ・エンジンは、プッシュボタンで始動。少々賑やかだが、加速は滑らかで力強い。コラムシフトは変速しやすく、視界は確かに広い。頼もしい制動力を得るには、ブレーキペダルを強く踏む必要があり、先を読んだ運転が欠かせない。

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヒルマン・ミンクス・カリフォルニアンの前後関係

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