RRでミニ・シリーズに勝負(1) ライレー・エルフ vs シンガー・シャモア・スポーツ ライバル同士を3つのボディで振り返る

公開 : 2026.05.31 17:45

FFのミニ・シリーズと比較されがちな、RRのインプ・シリーズ。ライバルとなるモデルが、同時期に提供されていました。スポーツ仕様から小さなワゴンまで、3種の魅力をUK編集部が比べます。

ミニと比較されがちなRRのインプ

ヒルマン・インプの話題になると、英国のマニアはオリジナルのミニを比較対象に持ち出す。後輪駆動だったのに対し、現在では一般的な前輪駆動と、わかりやすい違いがあるからだろう。だがそれ以上に、実用性などの差が販売へ影響したといっていい。

ヒルマンを傘下にしたルーツ・グループは、不安定な経営と度重なるストライキ、高くない信頼性へ悩まされていた。また1960年代の欧州では、リアエンジン・レイアウトは珍しいものではなかった。ルノーや現アウディのNSUも、RRのモデルを擁していた。

FFのミニ・シリーズと、RRのインプ・シリーズ
FFのミニ・シリーズと、RRのインプ・シリーズ    トニー・ベイカー(Tony Baker)

結果的にミニは今へ生き残ったが、インプの魅力も忘れがたいもの。そこで今回は、直接的なライバル同士を、3つのボディスタイルで振り返ってみよう。

上流階級をターゲットにしたライレー・エルフ

1961年のブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が、上流階級をターゲットに発売したのが、モーリスオースチンのミニ・マイナーをベースにした、ライレー・エルフとウーズレー・ホーネット。全長は、約215mmも伸ばされていた。

ノッチバックのスタイリングを担当したのは、ディック・ブルジ氏。内装はレザー張りで、ダッシュボードはウォールナットで飾られ、2つのグローブボックスが備わった。価格は、エルフが475ポンドとホーネットより15ポンド高かったが、装備が良かった。

ライレー・エルフ(1961~1969年/英国仕様)
ライレー・エルフ(1961~1969年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

「ライレーのオーナーは、なぜこれほど優越感に満ちているのか?」と、広告では強気なフレーズで訴求された。1966年の映画「影なき裁き」には、脇役で登場している。

果たして、エルフとホーネットは「少し上」を好む層へヒット。ライレー・ブランドが経営再編を理由に消滅した、1969年まで生産は続いた。

郊外の一般道で発揮される998ccの本領

今回ご登場願ったのは、アベリーノ・カルメロ・トレンティーノ氏が所有する1963年式。848ccから998ccへエンジンの排気量が増え、MkIIへアップデートされた直後のエルフとなる。前オーナーは、2022年まで34年間も大切に乗った、両親だったという。

「本当はMkIのミニが欲しかったんです。でも凄く高額ですし、エルフにも以前から憧れていましたから。現代の交通にも充分対応できますが、高速道路は得意じゃないですね。郊外の一般道で、本領が発揮されますよ」とトレンティーノが微笑む。

ライレー・エルフ(1961~1969年/英国仕様)
ライレー・エルフ(1961~1969年/英国仕様)    トニー・ベイカー(Tony Baker)

エルフは、同時期のミニ・シリーズの中では目立たない存在かもしれない。だが、確かな魅力を感じることは間違いない。彼が続ける。「現代のクルマと違って、直接的で純粋な運転体験を味わえます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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