三菱アウトランダー PHEV(2) 英国復帰を牽引 強力モーターでEVのよう 丁寧に試乗すると見えるマイチェンの必要性

公開 : 2026.10.21 18:10

三菱がL200(日本名トライトン)とアウトランダー PHEVの2台体制で、英国市場へ復帰しました。アウトランダーは2モーターに2.4L 4気筒ガソリンで、不満のない動力性能です。UK編集部が試乗します。

バッテリーEVのように走れる強力なモーター

プラグインハイブリッドのアウトランダーで、英国への復帰を果たした三菱。新型が実装するパワートレインは、実質的には2012年に発売された先代の進化版といえる。

ドライブモードは、EVとノーマル、セーブ、チャージという4段階。ただし、セーブやチャージではバッテリーの残量設定ができず、ノーマルではナビデータをもとに電気の利用配分を調整する、といった制御がされない。若干の古さは否めないだろう。

三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)
三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)

しかし駆動用モーターは力強く、充電量が充分ならバッテリーEVのように走行可能。発電のため稼働するエンジンも、非常に静かだ。モーターや制御システムから高周波が聞こえてくるが、気にならない音量で、むしろメカとしての特徴になっている。

EVモード時の0-97km/h加速は9.7秒と、車重2148kgのSUVとして不満なし。136km/hまで加速することもできる。

充電量が乏しくても大きく陰らないパワー感

アクセルペダルを深く踏むと、エンジンは駆動系へ直結。駆動用モーターを助けるべく、高回転で動き始める。ただし、その加速は漸進的ではなく、CVTが介在したかのよう。中間加速では、勢いに不自然な変化も伴う。

だが、全力時の0-97km/h加速は7.1秒と鋭い。エンジン音は目立つようになるが、バッテリー残量が乏しくなっても、パワー感が大きく陰らないのも強みだ。

三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)
三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)

回生ブレーキは、手元のパドルで調整可能。ブレーキペダルの感触は自然で、踏み込むほど制動力が強くなり好ましい。サマータイヤでも制動距離は長めで、約110km/hから停止までに、乾燥路で48.2mを要している。濡れた条件では、73.6mへ伸びていた。

絶妙なバランスにある乗り心地と姿勢制御

かつてラリーで猛威を振るった三菱だが、技術者はアウトランダーのシャシーを快適性重視で味付けしている。サスペンションはソフト側にあり、乗り心地は優しい。フワフワと落ち着きに欠くことなく、姿勢制御は適度に締まり、絶妙なバランスにある。

ボディ剛性や減衰特性はクラストップといえず、ホイールは20インチと大径なため、舗装の剥がれた穴などの振動は抑えきれていない。とはいえ、不快に思うほどではなく、高速時の静寂性も高い。

三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)
三菱アウトランダー PHEV ダイヤモンド(英国仕様)

四輪駆動と低重心のおかげで、操縦性も良好。基本的にはアンダーステアだが、カーブでアクセルを戻しきっかけを与えればオーバーステアも誘え、機敏な身のこなしを叶えている。グリップ力は高く、旋回時のトルクステアも抑えられている。

ステアリングの感触は若干曖昧。高速道路では、細かな修正がしばしば必要だった。トラクション/スタビリティ・コントロールの制御は、前世代的なもの。反応が遅く、介入の洗練度も高くはない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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