【休日クラシック・ポルシェ・アーカイブ #41】1989年ポルシェ911カレラ・スピードスター「930系カレラのプラットフォーム、最後のモデル」

公開 : 2026.10.11 09:11

スピードスターが911に復活

ポルシェ911カレラ・スピードスターは、1989年に1年間限定の特別モデルとして登場した。

最大の特徴はフロントウインドウが通常より寝かされ、アルミ製フレームで保持され約79mm低められている点。運転席と助手席のサイドウインドウは手動式で、スタイリングを乱す三角窓は省かれた。

1986年に911スピードスターのプロトタイプが製作され、1987年のフランクフルト・モーターショーでコンセプトモデルとして公開される。
1986年に911スピードスターのプロトタイプが製作され、1987年のフランクフルト・モーターショーでコンセプトモデルとして公開される。    ポルシェ

ボディは標準でカレラ3.2のナロータイプだったが、オプションで911ターボのスタイリングと足廻りを組み込む、俗にターボルックと呼ばれる『M491ターボ・ボディ・パッケージ』が用意された。迫力ある精悍なスタイリングから、生産されたスピードスターのほとんどがターボルック仕様だった。

後席部分には樹脂製の『ダブルバブル』形状のトノカバーを装着。その下は座席が取り除かれ、カーペットでトリムされたラゲッジスペースとされていた。雨天時の一時的な使用を想定した、簡易な布製ソフトトップも付属する。

車重はカブリオレに較べ50kg軽い1210kg

エンジンは、3.2リッター空冷水平対向6気筒ユニットが搭載され、最高出力は欧州仕様で231hpを発揮。米国仕様は排気ガス規制に対応するため圧縮比を9.5:1に下げ触媒を装備したことから217hpに低下していた。

トランスミッションはゲトラグ製G50型5速が組み合わされ、足回りにはアロイ製キャリパーを備えたベンチレーテッド・ディスクブレーキが4輪に採用。ターボルック仕様には、7Jおよび9Jサイズのフックス製16インチ鍛造アルミホイールと、ワイドなタイヤが組まれた。

スピードスターという概念を突き詰めたもので、一体成型のファイバーグラス製トノカバーが特徴だった。
スピードスターという概念を突き詰めたもので、一体成型のファイバーグラス製トノカバーが特徴だった。    ポルシェ

911スピードスターはカブリオレと比較して軽量化が図られ、ルーフフレームの廃止や、パワーウインドウなどの装備を省いたことにより、車重はカブリオレに較べ50kg軽い1210kgとなった。

高い人気があったにもかかわらず、911カレラ・スピードスターの総生産台数は、1年間の限定生産ということから、わずか2100台余を製作してピリオドが打たれた。しかし、その人気の高さから、後継モデルとなるタイプ964にも設定されることになる。

●空冷水平対向6気筒 3164cc ●217-231hp ●240-245km/h

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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