お手頃なMT車が登場したという事実 フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(2) 65psの否めない非力感も、速度を落とさず走る楽しさ

公開 : 2026.10.29 18:10

EV版の販売低調により、急遽開発されたフィアット500 ハイブリッド。設定は1.0L 3気筒の自然吸気に6速MTのみとなります。速度を落とさず小気味良く走らせる楽しさを、UK編集部が試乗で味わいます。

0-100km/h加速16.2秒で非力感は否めない

大改修でガソリンエンジンの動力源を得た、フィアット500 ハイブリッド。車重は1066kgと先代より90kgほど増えているが、まだ軽い側にある。それでも最高出力は65psに留まり、最高速度は154km/h。0-100km/h加速に16.2秒を要する。

ちなみに、英国の主力グレードの500eは、最高出力が倍近い。大きい駆動用バッテリーを積んでいても、0-100km/h加速時間はその半分だ。

フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)

見慣れた雰囲気のインテリアは好印象でも、実際に走らせてみると、中回転域での非力感は否めない。発進加速は充分活発で、50km/h程度までなら特にストレスはないものの、流れの速い郊外の道では積極的に1.0L 3気筒ユニットを回すことになる。

シフトノブの位置は高めで、丸く握りやすいが、6速MTのギア比はグレートブリテン島の道路環境には長め。5速や6速は、殆ど使う機会がないかもしれない。燃費重視のシフトアップ・インジケータは、無視せざるを得ない。

速度を落とさず小気味良く走らせる楽しさ

乗り心地は、細かな揺れが常に伝わるものの、小柄なハッチバックとしては悪くない。ボディの剛性感が増したこともあり、大きな入力は巧みに和らげられ、これは明らかな進化といえる。走行中の静寂性も、先代より向上している。

カーブへ高い速度で飛び込めば、それなりにボディロールは生じる。うねりを通過すると、フワッと浮くような感覚もある。それでも、専ら市街地で過ごすであろうモデルとして、姿勢制御と快適性のバランスは良い。

フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)

ステアリングホイールは、指先で回せるほど軽い。路面との接地感は殆どないが、立体駐車場や入り組んだ市街地での取り回しは良い。

ステアリングの精度は高く、カーブでは正確にラインを辿っていける。パワーは不足気味でも、速度をできるだけ落とさずに小気味良く走らせるという、楽しさがある。

マイルドなハイブリッドで燃費は先代より悪化

燃費は、複合的な条件で走らせた今回の平均で約17.0km/L。悪くない数字だが、同クラスのハイブリッドなら、より優れる燃費を得られるはず。また、先代の500は19.5km/L前後で、悪化もしている。車重が90kgほど増えたためだろう。

ハイブリッドを名乗っても、500のそれはかなりマイルド。競合モデルのような、高効率にはない。

フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)
フィアット500 ハイブリッド・ラ・プリマ(英国仕様)

そのかわり、英国価格は1万8995ポンド(約395万円)からと、現在の英国で購入できる新車としては極めて安価。フィアット独自の支払いプランで、毎月の負担も抑えられる。キア・ピカントなど、より安いモデルも存在はするが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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