キャデラックATSクーペ & Apple CarPlay

公開 : 2016.03.28 23:40  更新 : 2017.05.29 18:32

地図の表示能力もイマイチだ。ルート・ガイド中の地図は3D表示のみとなり、2D表示への切り替えは不可。分岐点近くになるとやや2Dに近い状態になるが、完全な2D状態とはならない。交差点拡大図もなく、周囲の施設情報はテキストで表示するのみだ。地図のスケール切り換えも範囲が狭い。ルート・ガイド中に地図を広域で確認しようと思っても三段階程度しか切り換えられず、それ以上の広域を見たい時は一旦ガイドを停止するか、あるいはルートの全体図を表示させるかしかない。この辺りはスマホ用ナビアプリにも見劣りする。

ただ、音声ガイドはTTSによる電子合成音のみであるものの、タイミングは良好だった。分岐点に近づくに従って進行方向と分岐点名を読み上げ、進むべき車線ガイドも音声で行う。ルートガイドが必ずしも適切でない時もあったが、複雑な分岐点でなければこの音声だけを聞いていても進めそうだ。測位能力も他のナビアプリに比べても安定している。さすがに長めのトンネルでは逆走現象を発生させるなど不安定さを露呈するが、これはスマホ用ナビアプリでも同じこと。むしろ、都内走行での安定ぶりは他のスマホ用アプリに比べてもはるかに優れていると感じた。

とはいえ、車速パルスやジャイロセンサーを組み合わせた車載ナビゲーションに比べれば絶対的な測位能力はかなうはずもない。しかも、VICSなどの交通情報にも非対応なので、渋滞を避けようにも方法がない。つまり、カー・ナビゲーションの総合的な能力だけを考えれば車載ナビゲーションに大きく見劣りしているのだ。新たにキャデラックのユーザーになった場合、この能力にはきっと心許なさを感じることだろう。

そこで「統合制御ナビゲーションシステム」には、パナソニック製メモリーナビが標準装着されている。ホームボタンを長押しすれば、画面はこのナビモードに切り替わり、画面上のタッチ操作が可能になる。交通情報も反映でき、ナビゲーションとしての能力は文句なしにこちらの方が高い。それでもCarPlayはiPhoneに仕込んであるコンテンツを連携させるのはとても便利で、車載ナビゲーションとの使い分けをすることで双方のメリットをフルに引き出せるようになっている。今後はCarPlay対応のアプリがサードパーティから追加されることが見込まれ、CarPlayへの対応が車載システムの魅力をいっそう高めていくのは間違いない。納得いく走りと室内の高品質さを伴うATSクーペだだけに、他のラインアップを含めぜひとも右ハンドル仕様の対応を希望したい。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA


キャデラックATSクーペ

価格 5,800,000円
全長×全幅×全高 4680×1845×1400mm
ホイールベース 2775mm
乾燥重量 1600kg
エンジン 直列4気筒1998ccターボ
最高出力 276ps/5500rpm
最大トルク 40.8kg-m/3000-4600rpm
ギアボックス 8速オートマティック
サスペンション マクファーソン・ストラット / マルチリンク
ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ 225/40RF18 / 255/35RF18


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