ロータス・エスプリの開発メンバー招聘 AC 3000ME & TVRタスミン(2) 予想以上の楽しさ 連れて帰るならどっち?
公開 : 2026.05.09 17:50
英国のスポーツカー・ブランドの転換期に生まれた、3000MEとタスミン。小ぶりなボディへV6エンジンを積み、想像以上に楽しい運転体験を叶えていました。UK編集部がレアな2台を振り返ります。
もくじ
ーエスプリを描いたデザイナーを招聘
ー当時としては驚異的に小さい空気抵抗
ートップへ就く直前のウィーラーがオーナー
ー濡れた路面でも積極的に走らせられる
ー2台の運転の楽しさは予想以上
ー小さなブリティッシュ・スポーツ 2台のスペック
エスプリを描いたデザイナーを招聘
AC 3000MEのステアリングは機敏に反応しつつ、フィードバックは薄め。アンダーステアは抑えられているものの、不意にクルリと向きが逆転するのでは、という不安が拭えない。ミドシップで、前後の重量配分は40:60だという。
とはいえ中域で逞しく、カーブが続く裏道を飛ばしても、確かなグリップ力で走りは安定。舗装のツギハギでの入力は目立つが、乗り心地も充分しなやか。丁寧に扱えば、優れたグランドツアラーといえ、長距離ドライブとの相性は高い。

これは、1970年代のTVRも求めていた特性だろう。1976年まで、10年ほど同社を率いたマーティン・リリー氏は、ポルシェやロータスと競えるモデルを望んでいた。衝突安全性や型式認証の厳格化により、北米で販売するには、モデルの刷新が必要だった。
そこで招聘されたのが、エッジーなロータス・エスプリの開発にも関与した、デザイナーのオリバー・ウィンターボトム氏。彼は同僚だったシャシー技術者、イアン・ジョーンズ氏をメンバーへ推薦しつつ、リリーの高い期待へ応えた。
当時としては驚異的に小さい空気抵抗
ジョーンズは、強固なFRP製セルを開発。チューブラーフレームで補強し、キャビンの側面衝突安全性を大幅に高めた。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン。前はフォード、後ろはジャガーの技術が流用されていた。
ブレーキはディスクで、インボード・レイアウト。リアにはリミテッドスリップ・デフが組まれ、フロントには、フォード由来の2.8L V6ケルン・ユニットが収まった。

ウィンターボトムの描いたウェッジシェイプは、初期のエスプリ S1に並ぶ空気抵抗を実現。風洞実験で確認されたCd値は0.36と、当時としては驚異的な小ささだった。
プロトタイプは公道で数1000km試走され、その頃に「タスミン」という名称も生まれた。オーストラリアのタスマン・レースが、その由来だという。
トップへ就く直前のウィーラーがオーナー
1980年1月のベルギー・モーターショーで、タスミンは発表。AUTOCARは、見た目の美しさと仕上がりの高さを評価した。他方、0-97km/h加速は8.2秒で、TVRの先代モデル、7.7秒の3000Mを動力性能では超えてはいなかった。
レッドのタスミンは、マシュー・ロブ氏が現オーナー。1980年1月から1981年3月に提供されたショートテール仕様、S1の1台として、14番目にラインオフしている。初代オーナーは、TVRのトップへ就く直前のピーター・ウィーラー氏だ。

彼は、パワー不足を伝える手紙をTVRへ送付したらしい。その返答は定かではないが、1981年にTVR自体のオーナーにもなっている。ロブは、2021年にこのタスミンを購入。それまでにボディはレストアされ、ブルーからレッドに塗り替えられていた。
スタイリングは、1980年代の流行を力強く物語る。アルファ・ロメオ・アルファスッドやマセラティ・カムシンなど、他のモデルとの印象も重なる。ボンネットは極めて低く、2.8L V6エンジンが潜んでいることを感じさせない。



































































































































