ただこの排気音。いろいろな趣味があるのは承知のうえだが、われわれは特に素晴らしいとは思わない。たしかに勇ましい。けれど重層的なところがなく、多気筒のシンフォニーとは無縁。C63の方が、自然と胸が高まるような音調だと感じた。

サスペンションは、多くの人がソフトなモードで乗るだろう。英国の道でも衝撃は上手く抑えられている。ただ、その分、落ち着きに欠ける時がある。特にリアに連続的かつ不規則な入力が加わると、ぶわぶわと車体が浮き沈みする傾向がある。

もっとも硬いセッティングにすると、アシの動きのムダは一気に消える。ただ、ゴツゴツと硬すぎるわけではないためひと安心。上下の動きは一発で収まる。この場合、コーナーに飛び込んでもロールは最小限だ。

リア・バイアスの4WDシステムであるにもかかわらず、C63のようにリアを遊ばせにくいのもC43の特徴である。遊ばせたければ、フロントを思いっきり沈ませてやらなければならない。それよりも脱出のトラクションを楽しむほうが手っ取り早い。

ただ、多くの人にとっては、それくらいの方がいいではないか。とびっきりの楽しみはC63に任せればいい。ほどほどの快適性とパワー感を手軽に楽しめるほうがC43らしいといえるだろう。