環境配慮の4気筒でも407ps メルセデスAMG C 43へ試乗 本音は「CLE 53」のエンジンが欲しい

公開 : 2025.04.05 19:05

モーター内臓ターボとISGの加勢で、4気筒から407psを得たAMG C 43 快適な運転姿勢 内装の品質はドイツの競合と互角 ターボラグのないレスポンス 音響は控え目 英編集部が評価

モーター内臓ターボとISGの加勢で407ps

メルセデスAMGは、Cクラスの63からV型8気筒エンジンを降ろし、直列4気筒へ置き換えた。それよりひと足先に、C 43もV型6気筒から直4ターボへ置換されている。

確かに1980年代には、4気筒のメルセデス・ベンツ190Eにも高性能なAMGがあった。ツーリングカーレースでの勇姿を、ご記憶の読者は多いはず。しかしそれは、6気筒へ増える前の、新しいスポーツモデルという立場にあった。賛否はあるだろう。

メルセデスAMG C 43 4マティック・サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG C 43 4マティック・サルーン(欧州仕様)

2気筒が減ったとしても、最新の43もパワフル。ターボチャージャーには、タービンのシャフトと直接繋がったモーターを実装。17万5000rpmという超高速回転が可能で、4kWぶんの電気エネルギーを回収することもできるそうだ。

加えて、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)も装備する。結果として、最高出力は407ps。W205型のC 43から17ps増強されている。最大トルクは50.9kg-mもある。

ターボ内のモーターは、早期にブースト圧を生成。積極的なドライブモード時は、アンチラグ機能のように、強制的にタービンを回転させ続けるという。

トランスミッションは、湿式クラッチの9速オートマティック。31:69でトルクが分配される四輪駆動システムが組まれ、後輪操舵システムとアダプティブダンパーは標準で装備される。

快適な運転姿勢 製造品質はドイツの競合と互角

通常のCクラスと、見た目の差別化は限定的。フロントグリルやサイドシル、トランクリッド上のスポイラーなどが、AMGの専用アイテムとなる程度だ。もっとも、後ろ姿を見れば、4本出しのマフラーがタダモノではない感を醸し出しているが。

インテリアは、標準ではウッドトリムにレザーシートという組み合わせ。オプションで、カーボンファイバー製トリムとマイクロスエード張りの内装で、スポーティさを強調することもできる。

メルセデスAMG C 43 4マティック・サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG C 43 4マティック・サルーン(欧州仕様)

ステアリングホイールはAMG独自のアイテムで、ドライブモードを手元で調整できるコントローラーが備わる。インフォテインメント・システムには、ドライブモードとサーキットでのデータロガーへ対応した機能が追加される。

それ以外の内装は、通常のCクラスと同等。運転姿勢は快適で、製造品質の高さはドイツのライバル、アウディS5やBMW M340iと互角といえるだろう。

AMG C 43の英国価格は、6万7500ポンド(約1316万円)から。ナイトエディション・プレミアムプラスやエディション・ミッドナイトといった、特別仕様も指定は可能だ。AMGパフォーマンスシートやマトリックスLEDヘッドライトなどが与えられる。

ちなみに、新しいS5 エディション1の方が英国では僅かにお手頃。BMW M340iは、同等の装備を指定すると、お値段が横並びになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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