フォードGT、先代GTよりも初代GT40に近い? フォード最強のロードカーを試乗

公開 : 2017.05.15 19:00  更新 : 2017.05.29 18:53

■どんな感じ?

驚いたのは、乗り心地

車高が落ちる、といっても、一般的な上下動は、スーパーカーのモーター式でも、SUVのエアサスでも、ゆっくり穏やかなものを想像するだろう。しかし、フォードGTは違う。

トラック・モードに切り替えたり、ノーズ・リフトのスイッチを押したりすると、「プシューッ」という音とともに、文字通り落ちるように下がったり、素早く持ちあがったりする。さながら、レーシングカーのエアジャッキだ。

この動力源となるポンプは、スポイラーやステアリングの油圧アシストを作動させるのにも用いられる。スカットルもルーフも低く、地べたに座るようなドライビング・ポジションだが、適正な位置が決まれば、操舵力は適度に重く、ロック・トゥ・ロック2.5回転と過剰にクイックではないステアリングは扱いやすい。

走行モードの切り替えダイヤルは、フォードの大衆車にもありそうなチープさだが、これを「D」に入れれば、なかなか楽しいことが起こる。

たださえ耳に届くエンジン音は、高剛性のキャビンセルがちょうど反響室のように作用して、レーシングカーのようなサウンドに包まれるのだが、乗り心地は驚くほど快適なのだ。

そういうスポーツカーはこれまでにもあった。

ロータスマクラーレンなら、メルセデスEクラスとでも比べない限り、非常にしなやかだと評価できる。しかし、このGTはちょっと様子が違う。乗り心地とハンドリングのバランスが傑出しているのだ。

20年ばかりさまざまなクルマを試乗してきたが、これを超えるものがあったか定かではないほどのレベルである。従順にしてロールは小さく、ボディの動きは実にうまく制御されている。ただただ驚かされるばかりだ。

これは公道での楽しみを追求したクルマではないのに、結果としてそういうものになっているのが不思議だ。ステアリングは適度に重く、リニアで、セルフ・センタリングの程度も望ましい。

フィードバックの荷重が路面状況に左右されず、ハードなコーナリングをしても重さが過剰に増すこともない。ロードカーであれば、コーナリングフォースの高まりを、ステアリングの重さで伝えるのが一般的だが、それがないのだ。

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