ランサー・エボVI トミ・マキネン・エディション vs インプレッサ22B STi 後編

公開 : 2018.03.03 16:10

ラリーへの郷愁以上の存在

2ドアのインプレッサは常に刺激的な存在であり、22Bの膨らんだフェンダーがあればなおさらだろう。さらにこのスバルはシートポジションもより優れている。低く座らせるとともに、ステアリングを体の近くまで持ってくることができ、その角度もより自然だ。

一方で、シートそのものもサイドまで包み込む形状であり、直ぐにクルマとの一体感を感じることができる。低速から中速にかけての乗り心地は、エボよりは若干優れているかも知れないが同じように硬い。

そして、やはり80km/hあたりから驚くほど滑らかで落ち着いたものになる。ステアリングにはトミ・マキネン・エディションで見られたような直進状態近くでの妙な引っ掛かりもない。

事実、22Bのステアリングは素晴らしい。ベースモデルのリアウインドウに「クイックステアリング」と書いた小さなステッカーが貼られているとおり、よりレシオを高めたステアリングは、シャシー全体と見事な調和を見せて、全てのコーナーでこのクルマを正確に操ることを可能にしている。

三菱がフロントに頼る一方、スバルは常によりニュートラルに感じさせる。コーナーに飛び込めばすぐにフロントとリアの四輪全てが機能して、ドライバーはそのバランスをただ楽しめばいい。

センターコンソールにあるダイアルでセンターデフのトルク配分を調整するのは、まさに無上の楽しみであり、この先も飽きることなどないだろう。

10%の排気量の違いによって、22Bのエンジンはエボよりもさらに強力に感じる。事実、中回転域は驚くほど力強く、まるで大砲で打ち出されたかのようにこのクルマを前へと突進させる。レッドゾーンは7900rpmに設定されており、エボのエンジンがリミッターに達するところでも、インプレッサはさらに回転を上げようとする。

発売当時のスバルの出力280psという公式発表は見事な嘘としかいいようがない。

ほんの少しだけスバルの方をより好ましいと思うが、これは当時マキネンよりもコリン・マクレーやリチャード・バーンズを応援していたせいかも知れない。客観的に見れば、この2台にほとんど差などない。

この2台の魅力の大部分は過去のラリーへの郷愁にあることは間違いないが、それだけではない。いまも変わらず重要なことは、トミ・マキネン・エディションと22B STiが、三菱エボとスバル・インプレッサの中の頂点に君臨するモデルだという事実である。

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