【高速域でも息切れ知らず】ポルシェ・タイカン・ターボへ試乗 EVの新基準

公開 : 2020.04.01 10:20  更新 : 2021.02.10 17:27

ドイツでは、EVのベストと呼べる走りを味わわせてくれたポルシェ・タイカン。道幅が狭く、路面の管理状態が良いとはいえない英国の一般道での印象はどうでしょう。中間グレードとなるターボを、ロンドン郊外で評価しました。

2020年はEVの年になる

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
どうやらヨーロッパでは、2020年はEVの年になる。2019年も同じようなことをいっていたが、2020年は本当にそうなるだろう。

一方、コロナウイルスの影響で、数多くの自動車工場は生産を一時停止。株価の暴落も止まらない。2020年は激動の年にもなりそうだ。

ポルシェ・タイカン・ターボ(英国仕様)
ポルシェタイカン・ターボ(英国仕様)

欧州では、自動車メーカーが排出するCO2の平均値を定めた規則が、効力を発揮する。EVやプラグイン・ハイブリッドなど、CO2の排出量が少ないクルマを多く販売して、高額な罰金を避けようと動くことになる。

その反面、自宅待機を命じられ、経済は減速傾向。ディーラーも閉店しており、クルマを販売すること自体が難しい。今後数ヶ月、新車の販売台数は冷え込んだ数字となるだろう。もちろん、資金に余裕のないメーカーは、経営状態を悪化させる可能性もある。

暗くなっていても仕方ない。純EVの新星、ポルシェ・タイカンが英国にも上陸した。以前の試乗評価を考えれば、祝福すべき上陸だと思う。エンジン好きとしては、喜べないかもしれないが。

AUTOCARでは近いうちに、タイカンのベースグレードとなる4Sと最速のターボSで、詳細な比較テストを実施する予定。今回試乗するのは、中間グレードのタイカン・ターボだ。680psと11万6000ポンド(1566万円)は、中間には思えない数字だけれど。

高価格帯のクルマを購入するドライバーにとって、ターボとターボSとの価格差、2万3000ポンド(310万円)は支払えない額ではない。むしろ、82psという出力の差を気にして、ターボSを選ぶのかもしれない。

高速域でも息切れ知らずの凄まじい加速

ターボSがエクストラパワーを発揮できるのは、本気のローンチモードの時だけ。普通に走っている限り、得られる最高出力はターボでもターボSでも、同じ625psとなる。

今回は英国南東部の風光明媚な道を、4時間ほど走り込んだ。タイカン・ターボであっても、パワー不足を感じる瞬間は1秒たりともなかった。むしろ、過剰にすら思えた。

ポルシェ・タイカン・ターボ(英国仕様)
ポルシェ・タイカン・ターボ(英国仕様)

電気モーターとバッテリーの組み合わせだから、加速は瞬時的で凄まじい。一部のEVとは異なり、高速域での息切れ感もなかった。

一般道では、おそらくタイカン・ターボについて来れるクルマは、エンジンを積んでいても多くはない。まして4シーターとなれば、数はかなり限られる。

スポーツプラス・モードでブレーキペダルを左足で強く踏み込み、アクセルペダルを右足で踏めば、ローンチコントロールがスタンバイ。フルパワーを解き放てば、ドライバーはシートに強く押し付けられる。

ポルシェは、加速時に聴覚的な刺激も満たすため、唸るような電子サウンドもデザインしている。ターボSでは標準装備となる、オプションのエレクトリック・スポーツサウンドを使用すると、さらに未来的な響きが楽しめる。

違和感を感じそうにも思える。しかし、スピードメーターの数字が一気に増えていく眺めと重なり、音響的にも充足感を追加していると感じた。好みはわかれるだろう。

直線加速はテスラの方が上かもしれない。だがポルシェで秀逸なのは、シャシー設定にある。扱いやすい乗り心地と、コーナリングの安定性とを高次元でブレンドさせた足回りは、英国の路面でも驚くほどに機能した。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記