【足を引っ張る非力さ】キア・シード・スポーツワゴン1.6 GDi PHEVへ英国試乗

公開 : 2020.07.29 10:20  更新 : 2021.03.05 21:36

海外ではトヨタ・カローラ・ツーリングなどのライバルとなる、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のキア・シード・スポーツワゴン。操縦性やインテリアは悪くないものの、動的性能には不満が残る様子。英国で評価しました。

英国では人気モデルのキア・シード

textSimon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
モデルバリエーションの拡大が続く、キアのシード。前回はPHEV版のクロスシードをご紹介したが、今回はステーションワゴンのシード・スポーツワゴンだ。追って通常のハッチバック版にも、PHEVが追加予定となっている。

シード・スポーツワゴンが採用するPHEVシステムは、基本的にニロPHEVと同じもの。自然吸気の1.6L 4気筒エンジンと電気モーターが組み合わされ、前輪を駆動する。

キア・シード・スポーツワゴン1.6 GDi PHEV 3(欧州仕様)
キア・シード・スポーツワゴン1.6 GDi PHEV 3(欧州仕様)

8.9kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、56kmまでの距離なら電気の力だけでも走行できる。3kWの容量の充電器を用いれば、3時間弱で充電が可能だ。

英国に導入されるシード・スポーツワゴンのグレードは、「3」 の一択。英国価格は2万9995ポンド(401万円)となる。試乗車は左ハンドルだったが、英国でも人気のモデルには違いない。

標準装備には、ナビゲーションにヒーター付きのシート、デュアルゾーン・エアコン、17インチのアルミホイールなどが含まれる。キア最新のインフォテインメント・システムと、安全運転支援システムも搭載される。

UVOと呼ばれるコネクテッド・システムで、eSIMを通じて充電器や駐車場の空き具合などを確かめることも可能。装備は充実しているから、購入の際に選ぶことといえば、ボディ色くらいかもしれない。

キア・シード・スポーツワゴンのPHEV版は、角が取れ、熟成された印象を受ける。一方で、一部はそうでもない。

一般的に好まれる乗り心地や操縦性

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。垂直方向の姿勢制御に優れ、路面の隆起などに対する処理も良好。高速道路も郊外の田舎道でも、市街地でも、足まわりはしっかり対処してくれる。

フロントタイヤの反応も良く、グリップは日常的な走行なら必要以上。操縦性も充分に良い。切り込んでいくと人工的な重さを感じる場面もあるが、基本的には正確性も高い。

キア・シード・スポーツワゴン1.6 GDi PHEV 3(欧州仕様)
キア・シード・スポーツワゴン1.6 GDi PHEV 3(欧州仕様)

速度を上げていくと、コーナリング時のボディロールが大きく感じられる。それでも、不安定さが顔を出すことはないようだ。

フォード・フォーカスのような、活発さや身のこなしは得ていない。しかし一般的なドライバーには、好まれる味付けだと思う。

車内は、いってしまえば典型的なキア。見た目も触感も、作りも良く、扱いやすいデザインに仕上がっている。しかし、華やかさというか、どこかセンスに欠ける。

運転席とステアリングコラムの調整は電動。可動範囲も大きい。ドライビングポジションは快適だし、リアシートの空間も広々としている。

荷室容量も、PHEVとして考えればかなり大きい。通常のシード・スポーツワゴンは625Lの容量がある。PHEV版はバッテリーが空間を侵食し、437Lに減っている。

パワートレインは、最大56kmのEVモードでの走行は評価できるが、それ以外は目立った特長がない。電気モーター自体のパワーは弱く、交通の流れに合わせて運転するには、アクセルペダルを深めに踏み込む必要がある。

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