【元祖スーパーSUV】 ランボルギーニLM002 カウンタックのV12に四輪駆動 後編

公開 : 2020.10.11 16:50  更新 : 2020.12.08 08:38

V12エンジンのサウンドを楽しめる

現代のスーパーカーの、繊細なペダル・タッチとは大違い。ブレーキもアクセルも、足場に固定されているアームのように重い。力いっぱい左足でクラッチを踏み、ドッグレッグ・レイアウトのMTを1速へ入れる。

ランボルギーニLM002の運転は、かなり神経を使う。視界は狭い。ミラーは小さい。前方には長いボンネットが伸び、キャブレターを覆う大きなバルジが遮るようにそびえる。幸い、ドライバーの正面には掛からないが。

ランボルギーニLM002(1982年〜1992年)
ランボルギーニLM002(1982年〜1992年)

右前方の位置を確認しようにも、大きなエアクリーナーを覆うボックスが突き出ていて、難しい。砂や小石がエンジン内に入るのを防ぐよう設計されている。砂漠での油田探しや、砂浜での悪ふざけが目的のクルマだ。

車重は2699kgもあり、巨大なタイヤが足元にぶら下がる。パワーステアリングのアシストは、かなり積極的。操舵は一瞬だけ重たいが、すぐに超が付くほど軽くなる。手応えが予想しにくい。

しばらくすると、大きなボディサイズに慣れてくる。ストロークの長いシフトノブを前後に動かし、エンジンの回転数を上下させる。ランボルギーニ製V12エンジンのサウンドトラックを、楽しめるようになる。

カウンタックのオフローダー的な、パンサーのような走りを想像するなら、少々期待はずれ。しかし、ジオット・ビッツァリーニが生み出したサウンドは残っている。より深く低く、動物的に聞こえる。

平原でガゼルの群れを追い回す、ネコ科の動物ではない。岩山へ登るのも大変そうだ。でも、放つ緊張感は負けていない。

広大な砂地を疾走するために生まれた

急な上り坂では、身の重さを実感する。右足へ力を込めると、頂上めがけてLM002が走り出す前に、ランボルギーニのエンジンが身構える。ほどなく、重力や空気、細かな物理的な法則を無視するように、突進していく。

最高出力は450psもあるが、2.7t近い車重のおかげで、0-97km/h加速に要する時間は7.5秒。新車当時なら、速く見えたかもしれない。

ランボルギーニLM002(1982年〜1992年)
ランボルギーニLM002(1982年〜1992年)

もし勇気があれば、LM002を189km/hの最高速度まで引っ張れる。しかし、そこまで右足に力を入れ続けられる人は、なかなかいないようだ。

車高が高く、幅も広い。常識的な速度でも、英国の道を運転するには、かなりの集中力がいる。対向車も生け垣も近い。

しかし、棒高跳びでウサイン・ボルトを評価するように、一般道でLM002を評価するのは不当だろう。広大な砂地を、疾走するために生まれたクルマだ。特注のサンドタイヤも、オプションで選べたのだから。

荒野に突き進めば、300mmもある最低地上高と、ロッキングデフも充分に活かせるはず。60度のアプローチアングルと45度のデパーチャーアングルが、急な起伏もクリアしてくれる。

カイエンベンテイガ、DBXとは違い、ランボルギーニLM002はロンドンの目抜き通りを流すことは考えられていない。新車当時は、オフローダーとして成功したともいえなかったけれど。

しかし近年の流行の中で、セレブが乗って視線を集めるのに、これほど丁度いいクルマもほかにはないと思う。元祖、スーパーSUVだといっていい。

ランボルギーニLM002(1982年〜1992年)のスペック

価格:新車時 12万ポンド/現在 30万ポンド(4080万円)以下
生産台数:241台
全長:4902mm
全幅:2007mm
全高:1854mm
最高速度:189km/h
0-97km/h加速:7.7秒
燃費:2.8km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:2699kg
パワートレイン:V型12気筒5167cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/6800rpm
最大トルク:50.7kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル+2速トランスファー

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