【レーシングドライバー塚本ナナミのスーパー耐久参戦記】第5回:オートポリスで向き合った、自分の課題

公開 : 2026.08.08 12:05

レーシングドライバーの塚本ナナミ選手によるスーパー耐久参戦記です。2026年シーズンにフル参戦というチャレンジを、本人自ら語ります。第5回は、7月25、26日に九州・オートポリスで行われたレースを振り返ります。

仲間とデータに助けられた、4秒の短縮

撮影:佐々木純也

みなさん、こんにちは。塚本ナナミです。今回の舞台は、九州・大分のオートポリス。複合コーナーが続く、全国でも指折りのテクニカルコースです。

実は私、オートポリスをD1(ドリフトの大会)で走った経験はあるのですが、それは逆走で、ストレートからお客様に見える範囲の数コーナーだけを使うもの。コースをまるまる1周、正回りで攻略するのは今回が初めてでした。日本国内に、自分がまだ走ったことのないコースがあったのだなと、少し意外な気持ちでもありました。

暑さ対策に、オリジナルうちわを配布しました。
暑さ対策に、オリジナルうちわを配布しました。    佐々木純也

複合コーナーの多いこのコースは、FF(前輪駆動)車両の良さが引き出せます。ただ、そのFFの強みをまだ100%出せていない私の運転では、課題が多いだろうと予想はしていました。そして実際には、その予想を上回る難しさだったのです。

初日の専有走行(レース前の練習走行)を終えて反省が残った私は、その日のうちにチームメイトとチーフエンジニアに協力してもらい、振り返りを行いました。ロガーデータ(車の動きを記録する計測器)を使って走りを数値で確認し、GPSでライン取りを比較し、車載映像を見比べて、コーナーごとに改善点を指摘してもらったのです。

翌朝、教わったことを整理してから走ると、前日から約4秒の短縮に成功しました! 仲間の目とデータのありがたさを、あらためて感じた2日間でした。

自己ベストと、決勝で残った反省

予選では、オートポリスでの自己ベストを更新することができました。ドライバー予選は上位5チームが1秒以内にひしめく接戦で、結果は4位。普段は2〜3位につけていることが多いので、少し悔しい順位ではありますが、それだけ僅差の戦いだったということでもあります。

一方で、決勝には反省が多く残りました。

塚本ナナミにドライバー交代するときの様子。
塚本ナナミにドライバー交代するときの様子。    佐々木純也

今回のマシンはセッティングが進化し、速さと引き換えに、より繊細な操作が求められる仕様になっています。体格差のある女性ドライバーは、シートを体に合わせて型取りし、余分な隙間を詰め物で埋めてフィットさせるのですが、横Gが長く続くこのコースと、繊細な操作を求められるセッティングに対応するため、私はさらに詰め物を増やし、限界までキツく体を固定するように変更しました。これは長年、いろいろなクルマに乗ってきた経験からの判断です。

それでも、不安定な状態になる高速コーナーで、セオリー通りにアクセルを踏んで曲げていく運転に、本番で大きくチャレンジすることはできませんでした。

何かあってはいけない。次のドライバーにバトンを渡すことが最重要事項だ。そう自分に言い聞かせながらも、不甲斐ない気持ちを抱えて、自分自身と葛藤していました。この葛藤も含めて、今の自分の実力なのだと受け止めています。結果は予選と同じ4位フィニッシュというものでした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    塚本ナナミ

    Nanami Tsukamoto

    ブラジル・サンパウロ生まれ、山梨育ち。やまなし大使を務めるレーシングドライバー。GAZOO 86/BRZレースで経験を積み、2015年にはポルシェカレラカップジャパンで年間チームチャンピオンを獲得した。海外ではニュルブルクリンクVLN耐久レースに加え、アメリカ、タイ、インドネシアでのドリフト競技にも参戦。競技の最前線で培った知見をもとに、自動車メーカーと連携した女性向けの脱ペーパードライバー講習や企業向けドライビング講習を行うほか、ゲームやアニメを活用し、運転する楽しさと交通安全の大切さを伝える活動にも取り組んでいる。

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