『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』は行き先にご用心【日本版編集長コラム#94】

公開 : 2026.08.09 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第94回は『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』を取材しました。

専用チューニングの2Lユニットを採用

昨年10月に予約受注を開始し、今年1月に発売開始した限定生産車、200台の『マツダ・スピリットレーシング・ロードスター12R』(以下12R)と、2200台の『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』(以下MSRロードスター)。今回はその後者を取材することができた。

ご存知のように、6月にはロードスター自体の商品改良が発表されているが、MSRロードスターは改良前のモデルがベースとなる。

2200台の限定生産車『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』を取材。
2200台の限定生産車『マツダ・スピリット・レーシング・ロードスター』を取材。    平井大介

何といってもその特徴は、国内では電動ハードトップモデルである『ロードスターRF』に搭載されている、2Lユニットの採用であろう。ただし専用チューニングが行われているため、スペックは微妙に異なっている。

ロードスターRFが最高出力182ps/7000rpm、最大トルク21.9kg-m/4700rpmであるのに対し、MSRロードスターは184ps/7000rpm、20.9kg-m/4000rpmとなった。

スーパー耐久参戦で得た知見をフィードバック

専用チューニングの内容をプレスリリースから抜粋すると、
・レブリミット回転直前まで出力を絞らず走行できるように制御を変更
・エンジン応答と質感を高い次元でバランスしたスロットル制御を採用
・減速時のブレーキングに集中できるように、ヒールアンドトゥ操作時の回転上昇をアシストする制御を新採用
・ブレーキ、アクセル、クラッチの各センサーを用い、ブレーキの踏力やアクセル操作量、エンジン回転数に応じてアシスト量を適切にコントロール
といったあたり。

スーパー耐久参戦で得た知見をフィードバックしているだけのことはあり、どれも公道走行というより、サーキット走行を頂点としたハイスピードドライブを想定している内容だ。『特定の操作をすることで、ブレーキオーバーライドシステムとスピードリミッターを同時に解除する機能を追加』しているほどである。

搭載する2Lエンジンは、専用のチューニングが施されている。
搭載する2Lエンジンは、専用のチューニングが施されている。    平井大介

ビルシュタインの硬さが容赦ない

エクステリアではフロントアンダースカート、リアスポイラー、サイドアンダースカート、リアアンダースカートなどが、インテリアではアルカンターラや赤いアクセント、そしてレカロと共同開発したセミバケットシートなどが特徴。

走りに影響を及ぼす部分ではやはりビルシュタイン製ダンパー、標準装備になったストラットタワーバー、レイズ製アルミホイール、ブレンボ製ブレーキなどがポイントだろう。

レカロと共同開発したセミバケットシートを装着する。
レカロと共同開発したセミバケットシートを装着する。    平井大介

さて、今回はロードスターなので深く考えずに海沿いを目指したのだが、走り始めてわりと早い段階で行き先を間違えたことに気がついた。

まず、ビルシュタインの硬さは容赦ないもので、路面からはかなり突き上げがある。2Lエンジンはさすがにトルクフルで余裕があり、官能的ではないものの、高回転域までキレイに回る印象。しかし「本領発揮するのは速度を上げた時なんだろうなぁ」と感じてしまったのだ。

もっと正直に書けば、いつもは低速から感じるロードスターの魅力を、街中ではあまり味わえなかった。そう目指すべき行き先はワインディング、あるいはサーキットなのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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