【被害者続出】高級「カーシェア投資」が事業停止 そもそもカーシェア投資とは? 何が問題だったのか

公開 : 2020.10.10 05:50  更新 : 2020.10.16 18:54

8月からAさんに入金されなくなった

さて、一見、うまくいっているように見えたS社のカーシェア投資事業だが、その危険性を指摘する声は少なからずあった。

カーシェア専門家のカーシェアマニア(@carsharemania)さんはこう話す。

「S社は2年前からフォロー&リツイートによる高級車プレゼント企画やインフルエンサー・マーケティングなど、SNSによる宣伝をしていました」

「近年は同社のカーシェア投資の勧誘が若者の間で広がっている様子でした」

「一般的にカーシェアリングは採算を成り立たせるのが難しい業種といわれています。そのため同社もこのような危うい投資商品を作ったと想像できます」

また、当選者とクルマの写真が掲載されていた「高級車プレゼント企画」もカーシェアに詳しい有志らの解析で架空のものだったことが判明しているようだ。

異常事態が確実になって来たのは今年8月以降である。投資者のところに毎月あった入金が止まってしまった。

Aさんをはじめ、多くがS社に問い合わせしたが、「コロナで資金繰りが悪化した」「来月まとめて2か月分入金します」などの回答が戻って来たそうだ。

そう言われて多くの投資者は納得して特に行動を起こす人はいなかった模様。

9月の入金がなかったことでさすがに10月以降はツイッターを中心としたSNSにも、投資者たちの不安の声が目立つようになった。

そしてついに、10月8日、S社が事業停止を宣言した。

突然の事業停止 クルマ返還される?

S社からAさんのところにメールが届いたのは10月8日午前11時頃のことだった。

以下の文面(一部を抜粋)である。

「取引先の車両仕入れ業者による故障車両増加の影響などにより、業績の長期低迷を脱しきれない状況にあります」

「このような状況から、弊社は、誠に遺憾ながら現在の事業を継続することは困難と判断し、今般、事業から撤退することを決定いたしました」

「今後、弊社及び関連会社は破産手続きを含めて法的手続きに入るべく各種の整理をしていく予定です」

「つきましては、委託者各位におかれましては、お預かりしている自動車の返還等を含め、順次契約関係を整理するための準備をおこなっていく予定です……」

要するに、「委託契約は終了」「クルマは返還する」ということである。実際に契約したクルマが返ってくるかは不明だ。

返ってくればいくらか返済の足しにはなるだろう。

とはいえ、S社の電話は不通。SNSのアカウントもすべて削除している。

クルマは本当に投資者のもとに返還されるのだろうか? 

事情に詳しいレンタカー会社の経営者にAさんが購入した車種と金額を伝えて、S社からの事業停止メールを見せたところ、予想外の答えが返って来た。

経営者が反応したのはメールの最初にある「故障車両増加」の部分と、Aさんがローンを組んで購入したクルマの金額である。

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