20世紀末ならホットハッチ 日産マイクラ(マーチ) 52kWh(2) 格上モデルへ迫る乗り心地 差別化はもっとあっていい

公開 : 2026.04.30 18:10

ルノー5 E-テックとの技術共有で誕生した、新型マイクラ(旧マーチ)。より若者受けしそうな見た目で、上質な内装を包み、少し前のホットハッチ級な動力性能を秘めます。UK編集部の評価とは?

20世紀末ならホットハッチと呼べた勢い

ルノー5 E-テックと技術を共有する日産マイクラ(旧マーチ)だが、駆動用モーターの制御などは異なり、タイヤの銘柄や車重も違う。その結果、0-100km/h加速は8.0秒と、きょうだいの7.7秒よりわずかに遅い。体感できる差ではないが。

このクラスでは、活発な側に入るだろう。信号ダッシュではミニ・クーパー Eに追いつけなくても、充分スポーティ。20世紀末なら、ホットハッチと呼べた勢いといえ、100km/h程度までなら力不足を感じることはないと思う。

日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)
日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)

緻密な制御でトルクは徐々に立ち上がり、アクセルペダルを蹴飛ばしても、トラクション・コントロールの介入はなし。標準のタイヤはハンコックで、5 E-テックが履くコンチネンタルほどグリップはしないものの、トラクションも悪くない。

制動力にも不足はなく、滑らかにマイクラを停止できる。ブレーキペダルの感触は柔らかく、摩擦ブレーキがどの程度動作しているのか、足裏を通じて感じ取ることは難しいが。パドルで調整できる、回生ブレーキの制御も好ましい。

格上モデルへ迫る乗り心地に快活な操縦性

シャシーは、5 E-テックより若干硬め。比較すれば、姿勢制御には締まりがあり、ステアリングの操舵感も重め。操縦系の感触には一貫性が高く、直感的に運転できる。しなやかで軽快感の強いフランスのきょうだいと、意図的に特徴を変えたのかもしれない。

そのかわり、カーブでのグリップ力は若干劣り、早めにアンダーステアへ転じる。先述のタイヤと、硬めのスタビライザーによる影響だろう。より運転が楽しいと感じるのは、快適性と操縦性のバランスで僅かに勝る、5 E-テックかもしれない。

日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)
日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)

ただし、この差は精査すれば気付ける程度。むしろ、ひと回り大きいモデルへ迫る乗り心地や、小柄なボディらしい快活な操縦性へ、惹かれる人は多いはず。

トップグレードにはプロパイロット

運転支援システムは、感心するほど充実。ドライバー監視機能や車線維持支援、衝突被害軽減ブレーキ、制限速度警告などに加えて、中級グレード以上ならアダプティブ・クルーズコントロールやブラインドスポット・モニターなども実装される。

ドライバー監視機能は過敏気味だが、制御は概ね高精度。オンのままでも邪魔に感じることは殆どない。試乗車のトップグレード、エヴォルブには、高速道路を半自律的に走るプロパイロットも備わる。隣車線のクルマの動きにも、落ち着いて処理できていた。

日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)
日産マイクラ(旧マーチ) 52kWh(英国仕様)

航続距離は、5 E-テックより僅かに長い。高速道路の巡航なら、280kmほど先を目指せる。市街地中心の普段使いなら、390km近くは無充電で走れそうだ。

英国では価格も5 E-テックに並び、政府のEV補助金を差し引いて、2万1495ポンド(約451万円)から。ちなみに、ヒョンデシトロエンフィアットのライバルは、これより低く設定されているが、航続距離では届かない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

日産マイクラ(マーチ) 52kWhの前後関係

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