【待ち時間をビジネスチャンスに】多機能のEV充電ステーション シェル、欧州展開を計画

公開 : 2020.11.03 18:07

石油会社のシェルは、EV充電時間を有効活用できる多機能の充電ステーションを計画しています。既存のガソリンスタンドに代わり、電力と休憩スペース、郵便物の預かりサービスなどを提供。ビジネスチャンスを見出しています。

もくじ

充電のためだけの場所ではなくなる
クルマと自分を大切にすること
課題はやはり数と場所
充電待ちを有効活用

充電のためだけの場所ではなくなる

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

石油会社のシェルは、EVの充電時間を有効活用する施設を計画している。

150kWの急速充電器が最大10台設置され、ソーラーパネルを取り付けたスタイリッシュな屋根が日差しを防ぐ。隣にはコンビニエンスストア、無料Wi-Fiスポット、郵便物の集荷所、そして清潔なトイレがある。ガソリンや軽油のポンプはない。

将来的にはコンビニエンスストアのようにさまざまな機能を備えるようになるかもしれない。
将来的にはコンビニエンスストアのようにさまざまな機能を備えるようになるかもしれない。

これは、シェルが考案する未来の充電施設だ。同社初のEV専用充電ステーションは単なる夢ではなく、来年早々にロンドンのフラムにオープンする。

シェル英国法人の営業責任者、バーニー・ウィリアムソンに話を聞いた。

「わたし達はこれをプロジェクト・エブリンと呼んでいます。ドライバーが休憩したり、クルマを充電したりできるエネルギーハブです。本格的に展開を始める時期はお伝えできませんが、シェルは内燃機関車の禁止を支持しており、外出先での急速充電器のリーディング・カンパニーを目指しています」

シェルは2017年10月、ロンドン北部のホロウェイ・ロードにあるサービスステーションで、EVのバッテリーをゼロから80%まで30分で充電できる50kWの急速充電ポイントを初公開した。その後も相次いで9か所に増設。

2021年までには、200台の急速充電器(50kW)と超急速充電器(150kW)を組み合わせて、英国全土の主要路線に設置することを計画している。今後、新たに設置・改装される充電器はすべて超急速充電器となる。

また、テスラの250kW V3スーパーチャージャーを上回る350kWの充電器を2020年末までに3台稼働させる計画だ。使用する電力はすべて再生可能エネルギーである。

充電待ちの間は、隣接する売店などで休憩を取ることができる。高価格帯の店舗で、設置が進めば充電ステーションは単なる充電場所ではなくなるだろう。

クルマと自分を大切にすること

バーニー・ウィリアムソンは次のように語っている。

「シェルは利便性に強みがあります。当社の取引の3分の1は、燃料ではなく買い物によるものです」

見慣れたガソリンスタンドは、スマートな充電施設に生まれ変わるだろう。
見慣れたガソリンスタンドは、スマートな充電施設に生まれ変わるだろう。

「EVのドライバーは、充電を待っている間に買い物をしたり、コーヒーを飲んだり、スペースが許せばクリック&コレクト(ネットショッピングで購入した商品を自宅以外の場所で受け取ること)をしたいと思っているのではないでしょうか。わたし達はそれを『自分とクルマを大切にすること』と考えています」

「コロナウイルスの流行により、人々はできるだけ多くの用事を1か所で済ませたいと考えるようになってきました。(英国では)人口の75%以上がシェルのガソリンスタンドから15分以内の場所にいるため、わたし達は彼らをサポートするのに最適な立場にあるのです」

シェルの調査によると、EVのドライバーが重視しているのは、充電ステーションの増設・更新、互換性があり信頼性の高い充電器(初期モデルでは冷却問題に悩まされたが、現在は解決されているという)、便利な支払いシステムを備えたネットワークの充実度であることもわかっている。

その点、シェルが展開する充電カードとアプリでは、欧州全土にある13万5000か所の公共充電ポイントを利用でき、非接触で支払いを行うことも可能だ。料金は毎日変更されており、記事執筆時点では、1kWあたり39ペンス(53円)、カード保有者は36ペンス(49円)となっている。

三菱アイミーブ、プジョーiOn、キア・ソウルEVを所有している愛好家のショーン・ウォルターズは、シェルのEV充電ステーションの計画を歓迎している。

「わたしの経験では、充電ポイントはタクシーに占領されていることが多いので、特にロンドンには必要です」

ウォルターズは、サリー州の自宅からスコットランドまで運転することが多いため、主要な幹線道路上に充電ポイントを設置するシェルの計画は嬉しいニュースだったようだ。

「アメニティのない場所で充電中に暇を持て余すことなく、コーヒーを飲んだり、買い物をしたりすることができるようになりました。EVドライバーにとっては確実に改善されています」

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