主張増した新型 フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 成長実感の走り EA888の「R」も

公開 : 2025.12.10 18:05

2代目へ進化したTロック 自己主張が強化された見た目 高級感が明確に増したインテリア 洗練度が印象的な1.5 eTSI しなやかな乗り心地 「R」も登場予定 UK編集部が試乗

自己主張が強化された見た目 全長122mmプラス

2017年に初代が発売され、短期間にフォルクスワーゲンの主役級へ躍り出たTロック。拡大したティグアンと小さなTクロスの間を埋めるという、大切な役割を負っている。200万台以上の販売という成功を収め、同社の経営を支える1台でもある。

2代目では、ボディの自己主張を強化。全幅は9mm広がった一方、トレッドは前で30mm拡幅された。太いリアピラーと相まって、力強い雰囲気を醸し出している。

フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)

プラットフォームはMQBエボを採用し、全長は122mm長くなった。ユーロNCAPで5つ星を得るのに、必要な寸法といえる。サスペンションは、前がマクファーソンストラットで後ろがマルチリンク。新素材のブッシュで、衝撃吸収性を向上させたという。

当初のエンジンは、1.5L 4気筒ガソリンターボのマイルド・ハイブリッド、1.5 eTSI。電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれ、115psか150psの最高出力を選べ、7速デュアルクラッチATを介して前輪を駆動する。

高級感が明確に増したインテリア

インテリアは、高級感が明確に高まった。グロスブラックのパネルは殆どない。ダッシュボードのトリムや、粗めに織られたクロス、上級グレードのパンチングレザーなどに、素材へのこだわりを感じる。ドアハンドルは、上に引く形状だ。

タッチモニターの下、横に長いタッチセンサーは照明を内蔵。レッドのエリアに触れるとエアコンの温度が上がり、ブルー側を触れると下る。多機能なロータリーダイヤルで、ボリュームやドライブモードの変更ができるなど、操作性は良い。

フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)

シートには複数のオプションが用意されるが、標準のままでも、腰部分のランバーサポートを調整でき快適。後席側の空間は、身長190cmの筆者でも不満なく座れる。荷室容量は475Lと同クラスとしては広く、床下にも収納がある。

タッチモニターは大画面。メニューは柔軟に変更可能で、タップへの反応は素早い。殆どの機能をワンタッチで操作でき、スマートフォンとは無線でシンクロできる。

洗練度が印象的な1.5 eTSI しなやかな乗り心地

1.5Lマイルド・ハイブリッドのeTSIは、洗練度の高さが印象的。115psと150psの違いは、数字ほど感じられなかった。2026年には、135psか170psの2.0L eTSIも控えている。確かな速さを求めるなら、こちらを待っても良いだろう。

防音材が肉厚なためか、走行中の静寂性は驚くほど。普段使いなら、静かで滑らかに移動できる。回生ブレーキが介在し、ブレーキペダルの反応は若干予想しにくく感じた。

フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲン Tロック 1.5 eTSI 150PS Rライン(欧州仕様)

20インチ・ホイールにアダプティブダンパーと、18インチに通常のダンパーという2つの組み合わせを試したが、どちらも乗り心地はしなやか。凹凸に手を焼く場面が稀にあり、期待以上の快適性とまではいえないとしても。

ステアリングには、もう少し感触が欲しい。扱いやすいものの、回頭性は安定してアンダーステア。同社の技術者は、操縦性と快適性のバランスで19インチを推すそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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