【エンジンが壊れる?】環境に優しいエタノール混合ガソリン 英国で「E10」本格導入 影響は

公開 : 2021.08.17 06:05

英国では今夏から、ガソリンはエタノール混合率が2倍になった「E10」に切り替わります。クルマへの影響は。

エタノール混合率が10%に

text:James Ruppert(ジェームズ・ルパート )
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

今年の夏、英国でレギュラーガソリンの成分が大きく変わる。環境規制が強まる中、クルマのCO2排出量削減を目的とした政府の決定だ。しかし、一部のクルマではこれまで通りの給油ができなくなるとして、多くのメディアが注意を呼びかけている。

環境負荷を抑えるため、ガソリンにはエタノールなどの再生可能な成分を混ぜることが決まっている。これは今に始まったことではなく、英国では10年前から、ガソリンやディーゼルに再生可能な燃料を混ぜて販売している。これにより、100万台以上のクルマが道路から消えたのと同じくらい、CO2排出量削減に貢献しているそうだ。

環境政策の一環として燃料の性質も変化している。
環境政策の一環として燃料の性質も変化している。

現在、ガソリンはE5(エタノール混合率5%)、ディーゼルはB7(バイオディーゼル混合率7%)と呼ばれている。

9月からは、レギュラーガソリンに「E10」というラベルがつけられる。つまり、90%の無鉛ガソリンと10%のエタノールで構成された燃料へと切り替わっていくのだ。

エタノールは、サトウキビや穀物など、さまざまな植物から作られるアルコールベースの燃料である。エタノールは、通常の無鉛ガソリンとは異なり、CO2を吸収し、温室効果ガスの排出を一部相殺するという利点がある。

SMMT(英国自動車製造販売者協会)は、英国で販売されているガソリン車の92.2%がE10に対応していると推定している。2011年以降、国内で販売されるすべての新車は、E10への対応が義務付けられている。

また、2019年以降に製造された車両には通常、燃料キャップの近くにE5とE10のラベルが貼られており、どの燃料を給油できるかが示されている。では、何が問題なのか?

最悪の場合はエンジン故障も

2002年以前に登録されたクルマでは、問題が報告されているため、E10を使用しないように勧告されている。

AUTOCARの姉妹誌What Car?の調査によると、E10は現在のE5よりも燃費が悪くなる可能性があり、小排気量車ではさらに悪化すると見られている。今まで以上に頻繁に給油することになり、低燃費が魅力の1つであったコンパクトカーを所有するメリットが減ってしまう。

比較的新しいクルマには特に影響はない。
比較的新しいクルマには特に影響はない。

40年以上前のクラシックカーはもちろん、1990年代のモダン・クラシックカーやバイク、ボート、そして芝刈り機にも影響が現れるだろう。そして、問題は燃費の悪化だけではない。

E10に含まれる高濃度のバイオエタノールは、ゴム部品、ガスケット、シール、金属、プラスチックなどを腐食し、エンジンにダメージを与える。古いエンジンや燃料システムでは、カスや汚れが閉塞を起こす可能性がある。そのため、専門家のアドバイスを受けた上で使用しなければならない。

2022年以前のクルマのオーナーにできることは、エタノールに対応した部品に交換することだ。そうでなければ、オクタン価の高い(97~99)ガソリンを選ぶ必要がある。

ガソリン小売業者協会のPRAは、「E5は5年間は入手可能だが、その後見直されるだろう」と述べている。

高オクタン価のガソリン(いわゆるハイオク)は、一般的なレギュラーガソリンよりも高価だ。最近では、レギュラーガソリンよりも1Lあたり最大12ペンス(約18円)高く、平均的なクルマを満タン(50L)にしたときは約6~7ポンド(900~1000円)高くなってしまう。

もし、ガソリンスタンドで間違えて古いクルマにE10を入れてしまっても、すぐに故障するわけではない。ガソリンとディーゼルを間違えるのとは違い、E5で希釈すれば問題ないとされている。しかし、シェルをはじめとする各業者は、この方法を習慣化しないようにと話している。

E10は環境面でメリットがあり、大半のドライバーにとって何ら影響はない。しかし、E10非対応のクルマのオーナーにとっては、「ガソリンが良い方向に変化している」とは言えないだろう。英国では9割以上のクルマが対応済みだが、それでも推定100万台がE10を使用することができないとされている。

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