プジョーに流れる時間は、想像をはるかに超える速さ!CEOの声やコンセプトから占う近未来【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2025.12.26 11:45

かつては保守的なクルマ作りが特徴といえたプジョーが、ここ数年は、より革新的な方向へ成長しようとしています。アラン・ファヴェCEOのコメントなどを元に、スーパーカー超王こと山崎元裕がその近未来を占います。

保守的から、より革新的な方向へ

プジョーというブランドが、最近とても気になっている。

かつてはどちらかといえば保守的なクルマ作りが特徴ともいえたプジョーだが、ここ数年はエレガントでスポーティなテイストを強く感じるエクステリアやインテリアのデザインに象徴されるように、ブランドをより革新的な方向へと成長させようという意思がダイレクトに感じられるようになった。

最近のプジョーは、より革新的な方向へと成長させようという意思が感じられる。
最近のプジョーは、より革新的な方向へと成長させようという意思が感じられる。    ステランティス

果たしてプジョーというブランドは、これからどのように進化を遂げていくというのだろうか。

話はかなり以前のことになるが、今年のWEC(FIA世界耐久選手権)第7戦、富士6時間レースのために日本を訪れたプジョーのブランドCEO、アラン・ファヴェ氏は日本のメディアに対して、プジョー・ブランドの位置づけと現状、そして将来に向けてのプランをプレゼンテーションしてくれた。

ここではその内容を報告しながら、自分なりに『少しだけ目を離している間に、実は大きく変化していた』プジョーの今後を占ってみることにしたいと思う。

全モデルに通じるデザイン性や高級感

プジョーというブランドは、ステランティス・グループの中でも『アッパーメインストリーム(上級の量販車)』という言葉で表現されるとファヴェ氏は語る。確かに現在のプジョーのラインナップを確認してみても、全モデルに通じるのは優れたデザイン性や高級感だ。

それによって上級志向を演出したプジョー車は、量販車という意味でも確かな成長を遂げている。参考までに昨年比でのグローバルでの成長率は約4%。ヨーロッパでは3%ほど市場は縮小したというが、それを約22%もの驚異的な成長を記録したアジア・パシフィック地域のセールスが補っている。

日本メディア向けセッションに参加したプジョーのブランドCEO、アラン・ファヴェ氏。
日本メディア向けセッションに参加したプジョーのブランドCEO、アラン・ファヴェ氏。    ステランティス・ジャパン

とりわけ日本はプジョーにとって重要な市場であることをファヴェ氏が強調したのも印象的だった。そしてプジョーは、今後5年間でヨーロッパ市場におけるシェアを、7%にまで引き上げるというプランをも立ち上げている。

もちろんそのプランを現実にするための準備も着々と進んでいる。脱炭素化を重要な使命に掲げるプジョーは、すでに幅広いクラスにBEV(電気自動車)を設定し、HEV(ハイブリッド車)を含めれば幅広いラインナップを誇る。

前衛的な最新モデルのデザインは、まさにその革新性を象徴しているかのようであるし、一方、インテリアに目を向ければ高い居住性や荷物の積載性に代表されるプジョー伝統の機能性はそのままに、さらに小径のステアリングホイールと大型のデジタルメーターを組み合わせた『iコクピット』が未来的な感覚を醸し出しているのが分かる。

ファヴェ氏によれば、2年後には『ステアバイワイヤ(ステアリングホイールの動きを電気信号化し操舵を行うシステム)』の導入も計画されているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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