ジャガー「タイプ00」市販版プロトへ初試乗 外界との隔離性に唸る 3モーターで1000馬力

公開 : 2025.12.25 18:05

タイプ00の市販版プロトへUK編集部が初試乗 3モーターで1000馬力超 航続640km以上 長いノーズは次世代ジャガーの特徴 外界との隔離性に唸る 傑出した能力を理由に欲しくなる?

ジャガー・タイプ00の市販版プロトへ

ジャガーは、高級EVブランドとして再出発するべく、2026年に重要なラグジュアリー・グランドツアラーを発売する。この最新モデルは、2024年にお披露目され話題を呼んだコンセプトカー、ジャガー・タイプ00の市販版といっていい。

開発が終盤に差し掛かった今、AUTOCARは、その次世代ビッグ・ジャガーを初体験することが許された。2027年に納車が始まる量産車へ近い、プロトタイプへの試乗だ。

ジャガーの次世代グランドツアラー(市販版タイプ00/プロトタイプ)
ジャガーの次世代グランドツアラー(市販版タイプ00/プロトタイプ)

喜ばしい招待状は、突然届いた。デザイン部門の体制が刷新され、新CEOにPB.バラジ氏が就任する中、ジャガーの革新が順調なことを証明する意図があったのかもしれない。

トリプルモーターで1000馬力 航続640km以上

このグランドツアラーが製造されるのは、ゲイドンの北、ソリハルにあるジャガー・ランドローバー(JLR)社の工場。主な素材はアルミニウムで、約120kWhの駆動用バッテリーがフロア部分に敷かれ、航続距離は640km以上がうたわれる。

駆動用モーターは、前に1基と後ろに2基が載り、システム総合1000馬力。前後のトルク割合は可変式ながら、通常は30:70になるらしい。トルクベクタリング機能も備わる。

ジャガー・タイプ00(コンセプトカー)
ジャガー・タイプ00(コンセプトカー)

サスペンションは3チャンバー式のエアスプリングで、任意に硬さを調整できる。ブレーキは、23インチ・ホイールいっぱいの大径だが、殆どの減速は回生ブレーキが担う。

試乗へ同行したのは、開発責任者のマット・ベッカー氏。グレートブリテン島中南部、ゲイドンに構える同社の高速テストコース内で20分、という制限付きだったが、現状を確かめるには不足ない内容だった。

驚くほど長いノーズは次世代ジャガーの特徴

プロトタイプは、モノトーンの細かいグラフィックでカモフラージュされていたが、長く低いプロポーションは瞭然。全長は約5.4mあるという。前のオーバーハングが極端に短いが、ノーズ自体は驚くほど長い。次世代ジャガーの、特徴となる。

フロントタイヤからドアまでの間隔が広く、ホイールベースも長い。つまり、フロントシートはボディの中央寄り。市街地で小回りが利くよう、後輪操舵システムが備わる。安定性にも貢献するはず。

ジャガーの次世代グランドツアラー(市販版タイプ00/プロトタイプ)
ジャガーの次世代グランドツアラー(市販版タイプ00/プロトタイプ)

低いシートへ腰を下ろすと、ダッシュボードからボディ先端までの遠さへ、初めは戸惑う。車内の上下方向の余裕は見た目以上にあり、腰高感はまったくない。

インテリアの殆どはカバーで隠されていたが、明るめの素材がチラ見えしていた。コンセプトカーの車内が思い出される。ステアリングコラムから、レバーが突き出ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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