GLS級の純EV 7シーター開発中 メルセデス・ベンツEQS SUV 523psの試作車へ試乗

公開 : 2022.03.29 08:25

最高出力523psで0-100km/h加速4.5秒以下

ダッシュボードは、モニター式メーターパネルと、インフォテインメント用タッチモニターという組み合わせだけでなく、全面に広がるハイパースクリーンも選択可能。これも、サルーンのEQSと同じ構成となる。

着座位置は80mm高く、前方視界は良好。車体が大きいだけに、後席側も広大。偽装の隙間から覗く限り、高級感が漂うインテリアのようだ。

メルセデス・ベンツEQS SUV プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQS SUV プロトタイプ

523psという最高出力のとおり、EQS 580 SUVはテストコースを力強く走る。車内はSUVらしからぬ静けさだが、アクセルペダルを踏み込むと、鋭く滑らかに加速する。それでいて、安楽でもある。

トランスミッションはシングルスピードで、メルセデス・ベンツが「トルクスプリット」と呼ぶ四輪駆動システムを介して、豊かなトルクが瞬間的に4本のタイヤへ適宜展開される。終始、トラクションに不足は感じられなかった。

ドライブモードには、4種類が用意される。スポーツ・モードのほか、オフロード・モードも含まれる。

スペック的な数字は未定ということだが、EQS 580 SUVが0-100km/h加速を4.5秒以下でこなすことは想定できる。中間加速も鋭い。氷上の圧雪路でも、正面面積が大きく重いボディを、EQSと遜色ない勢いで安定的に加速させていた。

大きな駆動用バッテリーがフロア部分に搭載されるため、重心が低く、コーナリングもキビキビとこなす。車格を感じさせない勢いで、ダイレクトに進路を変えていける。

しかも、滑りやすい路面にも関わらず、反応は正確。数名の大人が乗った状態でも、知的なエアサスペンションがボディロールを最小限に抑えていた。

秀でた動力性能と操縦特性をSUVに融合

メルセデス・ベンツによると、電子制御のアンチロールバーを採用していないそうだ。エアスプリングの圧力で、EQS SUVのボディの傾きを制御している。また、ドライブモードで車高も2段階から選べるという。

機敏な身のこなしを生む鍵となるのが、後輪操舵システム。サルーンのEQSと同じく、リアタイヤは最大で10度向きを変える。擬似的にホイールベースの長さを変え、軽快感と安定感とを両立させている。

メルセデス・ベンツEQS SUV プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQS SUV プロトタイプ

まだ開発途中のEQS 580 SUVだが、既に高い完成度ある。車体の大きさや重さを感じさせるも部分もあるとはいえ、入力に対する反応は意欲的で、操縦特性はとても信頼感のあるものに思えた。電子デバイスの効能も大きいはず。

秀でた動力性能と操縦特性が、大きな7シーターに融合されるであろう、EQS SUV。公道での試乗が許されるには、まだ数か月待つ必要があるが、その優れた実力は充分にうかがい知ることができた。

サルーンのEQSや、先日発表されたEQEの完成度からして、EQS SUVの仕上がりにも高い期待が持てる。BMW iXテスラモデルXが、厳しい競争に巻き込まれることは確実といえそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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