飲んだら乗るな、乗ったらスマホ見るな 「ながら運転」による交通事故を考える【森口将之の『もびり亭』にようこそ 第23回】
公開 : 2026.08.12 12:05
モビリティジャーナリストの森口将之が、モビリティに関するあらゆる話題を語るこのブログ。第23回は、ながら運転による交通事故ついてです。
スマホを見ていて特別重要調査対象事故に
今年上半期に起こった交通事故で、個人的にもっとも印象に残っているのが、3月20日、三重県亀山市の新名神高速道路で、大型トラックが渋滞で停車中の車列に追突し、子ども3人を含む6人が死亡した事故です。
追突した大型トラックのドライバーがスマートフォンを見ていたため、渋滞に気付くのが遅れて追突事故を起こしたことがわかり、過失運転致死の罪で起訴されました。

ドライバーは事故直後には「前をよく見ていなかった」という供述だったのが、途中で「スマホを見ていた」に変わりました。国土交通省の要請を受けた第三者委員会の事業用自動車事故調査委員会が、社会的な影響の大きい特別重要調査対象事故に当たると判断し、関係者への聞き取りや現場の状況の確認などを通じて事故原因の分析を進めているためかもしれません。
特別重要調査対象事故は、2014年に委員会が設立されて以来、20件目になります。この中には、長野県軽井沢町の碓氷バイパスでの大型貸切バス転落事故、横浜市の京浜急行電鉄踏切における大型トラックと列車の衝突事故など、今も記憶に残る事故も含まれています。
ただし、スマホが原因の事故は初めてです。
たしかに僕が覚えている限りでも、スマホが原因とはっきり報じられた事故で、ここまで重大なものは記憶にありません。
改正危険運転致死傷罪に、ながら運転は含まれず
実は自宅近くの東京都杉並区を走る環状7号線でも、ながらスマホが原因と思われる事故が、たびたび起こります。3年間で3回と書けば、かなり多いと思うのではないでしょうか。
このあたりは内回りとしては珍しい、緩い右カーブで、その先にアンダーパスとの分岐があります。とはいえ普通に運転していれば問題なくパスできるのですが、カーブであることを見落としたのか、分岐部にある障害物表示灯(ブリンカーライト)に激突した事故を2回見ています。

そして先日は表示灯ではなく、その先のガードレールに突っ込んでいました。ドライバーは軽傷だったようなので、ながら運転か居眠りが原因ではないかと考えています。
たまに乗用車より目線の高い二輪車に乗って高速道路を走ると、スマホを見ながら運転している大型トラックが多くてぞっとします。高速道路を走るパトカーはセダンが多いので、実態を把握できていないのではないでしょうか。
白バイによる取り締まりは危険が伴うので、SUVなど目線の高い覆面パトカーを走らせてはどうかと思っているところです。
先月末に警察庁が発表した、今年上半期の交通事故の発生状況では、交通事故死者数は1162人で、前年同期比で1人増加と横ばいであり、飲酒運転による死亡・重傷事故は減少傾向です。
携帯電話等使用による事故は3年前から過去最高を更新し続けている
それに対して、携帯電話等使用による死亡・重傷事故は増え続けていて、3年前から過去最高を更新し続けていることがわかります。
グラフを見ると、2020年に一度大きく減っていますが、これは前年に罰則が強化されたためです。しかし今見ると、力不足だったことがわかります。
さらに先月には、危険運転致死傷罪にアルコール濃度や速度超過の数値基準を導入する『改正危険運転致死傷罪』が施行されましたが、ながら運転は含まれませんでした。
交通事故の被害者遺族からは、ながら運転を含めてほしいと要望があったにもかかわらず、見送られたそうです。しかも、多くの交通事故が過失によって起こるのに対し、ながらスマホは飲酒と同じで、故意になります。
前述の委員会では再発防止策の提言も出すとのことなので、飲酒運転並みの懲罰に持っていってもらいたいものです。


