維持費はオーナーの努力次第? マセラティ3200GT/クーペ/スパイダー【UK中古車ガイド】(2) ボディはジウジアーロ 没入体験を約束

公開 : 2026.08.15 17:50

マセラティ新時代を告げた、V8ツインターボの3200GT。フェラーリ製のV8 NAへ置換された、後期のクーペとスパイダー。没入の運転体験が約束されたグランドツアラーを、UK編集部が振り返ります。

かかる維持費はオーナーの努力次第?

四半世紀前のマセラティと聞くと、維持費は相当な金額になると想像するはず。完全にディーラー任せならそうだが、頼れるガレージを見つけ出し、オンラインで理解を深め、自ら部品を調達し、ある程度の整備ができる人なら、そこまで恐れる必要はない。

3200GTのスタイリングを手掛けたのは、ジョルジェット・ジウジアーロ氏。優雅な佇まいだけでなく、カーブを描いたLEDテールライトやダッシュボード上の時計など、ディティールもマニア心をくすぐる。しかも、キャビンは想像以上に広い。

マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)
マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

中古車を探す場合は、マセラティの正規ディーラーか専門ガレージの整備記録が、充分に残っているか確かめたい。少なくとも、近年の記録があれば心強い。メンテナンスが不充分だった例も安価に流通しているが、好調を保つには相応の努力が必要になる。

英国には、クラシック・マセラティを得意とするガレージが幾つかあり、不具合に現実的な価格で対応してくれる。センサーの不調が多いスロットルボディは、改良済みのアイテムが300ポンド(約6万5000円)程度で売られていたりする。

没入の運転体験が約束された麗しいマセラティ

電装系は複雑で、特に助手席の足元付近にあるヒューズボックスが湿ると、不調を招きがち。給油口とテールゲートの開閉スイッチは、グローブホックス内にある。エアコンも正常に動くか確かめたい。特にコンデンサーは、露出しており腐食しやすい。

サスペンションには、スカイフックと呼ばれるアダプティブダンパーが組まれている。スポーツ・モードを選択できない場合は、アクチュエータ内の樹脂製ギアの破損が疑われる。また、フィアットアルファ・ロメオと共有する部品も多い。

マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)
マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ガレージで保管されていた過去は、プラス要素。湿気は、天井の内張りやドアパネル、各部のレザーなどの劣化を早めてしまう。候補が見つかったら、ABSやトラクション・コントロールなど、すべての機能が動くか徹底的に確かめたい。

エンジンを問わず、鮮烈な走りで魅了する、3200GTシリーズ。乗り心地は多少硬めでも、優れた動的能力で没入できる運転体験が約束された、麗しいマセラティだ。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

サブフレームにサイドシル、ホイールアーチ、ブレーキパイプなどは錆びやすい。4.2Lエンジン版では、テールライト周辺も錆びがち。前期のブーメラン型テールライトは、水漏れすることがある。新品は1200ポンド(約26万円)で購入できる。

エンジン

エンジンオイルの状態と漏れ、バルブトレインの異音、エンジンマウントの状態を確かめたい。タイミングベルトは5万km毎か4年毎、タイミングチェーンは10万km毎の交換が推奨。スロットルはバイワイヤ方式だ。

マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)
マセラティ3200GT(1998〜2001年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

3.2L V8ツインターボは魅力的だが、維持費は高め。フェラーリと共通の診断ポートが実装され、エラーの確認には専用ツールが必要。4.2L V8は、OBDリーダーへ対応する。

クーラントがヒーターコアから液漏れすると、助手席の足元が湿ることがある。クラッチペダルを踏み込み、クランクプーリーがガタつかないかも観察したい。

クラッチ

クラッチは消耗品。当初からクラッチペダルは重かった。クラッチ交換には、英国では1500ポンド(約33万円)の部品代+工賃が必要。

サスペンションとブレーキ

ブッシュ類の摩耗具合を確かめたい。タイヤの偏摩耗が酷い場合は、アライメント調整を考えたい。アーム類は、1本2000ポンド(約43万円)前後と高額。

ブレーキは、ディスクとパッドの具合と、ABSの動作を確かめたい。ハンドブレーキも要チェック。新品が入手困難なABSユニットは、ヒートシールドで状態を保ちたい。

インテリアと電気系統

レザーの方がクロスより高耐久だが、定期的なお手入れは不可欠。車内が不自然に湿っていないか、欠損部品がないか、丁寧に観察したい。すべての電装品の動作チェックは必須。メーターパネルの警告灯も、忘れずに確認したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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