ぶっ飛んだコンセプトカー 54選 前編 才能を持て余した技術者の遊び?

公開 : 2022.04.17 06:05

エンジニアやデザイナーが思い描く「クルマの未来」を覗いてみると、稀に目を疑うようなデザインに遭遇します。

刺激的で謎めいたコンセプトたち

コンセプトカーの本質は、デザインと技術の限界に挑戦することである。しかし、自動車メーカーやデザイン会社は、時に踏みとどまるべきタイミングを見失うことがある。

今回紹介するコンセプトカーは、あまりにも奇想天外で、どんな形であれ道路に出ることはないだろうと思われたものだ。

荒唐無稽なものから現代アート的なものまで、思わず二度見してしまうようなコンセプトカーを集めた。
荒唐無稽なものから現代アート的なものまで、思わず二度見してしまうようなコンセプトカーを集めた。

中には伝説となったものもあるが、ほとんどはすぐに忘れ去られてしまった(彼らにとっては忘れられることが最善だろう)。では、見ていこう。

ベルトーネBAT3/5/7(1953年)

ベルトーネは1953年から1955年にかけて、3つのBATコンセプトを生み出した。BATは「ベルリネッタ・アエロダディナミカ・テクニカ(空力技術クーペ)」の略で、その名の通り、空力デザインの可能性を探るべく開発された。

第二次世界大戦前の古い設計が道路に溢れていた時代、3台のマシンはまるで火星から来た宇宙船のように見えたに違いない。写真:BAT 3

ベルトーネBAT3/5/7(1953年)
ベルトーネBAT3/5/7(1953年)

ギア・セレーネ(1960年)

ギア(Ghia)は、「10年以内に誰もが乗るようになるクルマ」と謳っていたが、ありがたいことに実現しなかった。トム・ジャーダ(1934~2017年)がデザインしたもので、リアにエンジンを搭載し、前後どちらに進むか分かりづらい形状となっている。この写真ではカメラの方を向いているように見えるが、実際には左を向いている。

ギア・セレーネ(1960年)
ギア・セレーネ(1960年)

ギア・セレーネ・セカンダ(1962年)

セレーネはその奇抜さ故に強烈な印象を残したが、その結果、トム・ジャーダは続編の制作を任されることになった。テレビアニメ「宇宙家族ジェットソン」に登場するようなセレーネ・セカンダは、先代同様、後ろ向きの座席を備えていた。

ギア・セレーネ・セカンダ(1962年)
ギア・セレーネ・セカンダ(1962年)

ベルトーネ・カラボ(1968年)

レース車両のアルファ・ロメオ33をベースに、V8を搭載した偉大なるコンセプトカー。カラーガラスとバタフライドアを採用し、空力性能も追求している。

ベルトーネ・カラボ(1968年)
ベルトーネ・カラボ(1968年)

シボレーアストロIII(1969年)

白紙からクルマをデザインするのであれば、タイヤの配置を再考するのは当然のことだろう。しかし、タイヤ同士を近くに置いてはいけない。GMのデザイナーは、アストロIIIの前輪2つを隣り合わせに配置したため、安定性が大きく損なわれた三輪車のように見えてしまったのだ。こう見えて四輪車である。

シボレー・アストロIII(1969年)
シボレー・アストロIII(1969年)

ベルトーネ・ストラトス・ゼロ(1970年)

自動車デザインにおける1つのターニングポイントとなったこの作品は、実用性の面で一歩踏み出せなかったが、限界を押し広げたことは間違いない。ランチアの同名車やアンディ・サンダースのレプリカに繋がったほか、マイケル・ジャクソン主演の映画「ムーンウォーカー」に登場したのもこのクルマだ。

ベルトーネ・ストラトス・ゼロ(1970年)
ベルトーネ・ストラトス・ゼロ(1970年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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