25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 後編

公開 : 2022.06.18 09:46

大きく変化したパワートレイン

ここ25年で大きく変わったのが、パワートレイン。欧州市場では、2代目フリーランダーの頃はディーゼルエンジンが主力だった。現行のディスカバリー・スポーツの場合は、ガソリンターボがその半数を占めるという。

2022年らしく、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選択できる。P300eの場合、システム総合での最高出力は309psもあり、初代フリーランダーの3倍近い。

ダークブルーのランドローバー・フリーランダー 1.8iと、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE
ダークブルーのランドローバー・フリーランダー 1.8iと、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE

最高速度は209km/hに対して173km/h。0-97km/h加速は6.2秒に10.5秒と、明確な違いがある。だが実用的なボディサイズと、利便性に長けたパッケージング、不満のないオフロード性能を備える、セミ・プレミアムSUVという特徴は共有する。

フリーランダーと比べて、もう1つ変化したのが価格だろう。ディスカバリー・スポーツはレンジローバー・イヴォークと並んで、われわれに最も身近なランドローバーであることに変わりはないけれど。

1997年の発売と同時に、1万5000ポンドから2万ポンドの英国価格だったフリーランダーは、ランドローバーの売り上げを40%も増加。それまでの年間13万台に、6万台が上乗せされた。

モデル開発を率いたディック・エルシー氏が、25年前をまとめる。「それは、単なる製品ではありませんでした。フリーランダーはビジネスを変えたといえます。若いチームが開発を率いて、社会全体の変化をクルマへ反映させたんです。会社の革新のためにね」

番外編:25年前のプレス向けイベント

当時のローバー・グループで広報を担当していたデニス・チック氏は、1997年のプレス向け発表会で試みた方法を教えてくれた。「わたしが技術者へ、事前に開発時の役割を確認した時です。若く情熱的なチームだと実感しました」

「そこで試乗会前に自動車メディアをゲイドンへ招いて、エンジニアたちと会ってもらいました。合コン・イベントのようにね。開発ストーリーや技術を多角的に伝える、プレゼンテーションの場としたんです」

右からランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE、ランドローバー・フリーランダー2(2代目)、ランドローバー・フリーランダー(初代)
右からランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE、ランドローバー・フリーランダー2(2代目)、ランドローバー・フリーランダー(初代)

「その2か月後、スペイン南部のマルベーリャ近郊にあるホテルで、大規模なグローバルメディア試乗会を開きました。5週間の期間でジャーナリストの各グループを招待し、ビーチや干上がった川底をフリーランダーで走ってもらいました」

「初代ランドローバーの開発にも関わった、ロジャー・クラソーンさんにも来てもらい、オフロードコースも用意しました。ヒルディセント・コントロールや新しい四輪駆動システムを、実際に試してもらうために。見た目以上にトリッキーなコースでした」

「スペインの素晴らしい一般道を、200km運転する機会も設けました。クルマへの評価は、とても素晴らしいものでしたよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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