ランドローバー・フリーランダー2メトロポリスSD4

公開 : 2014.06.12 23:30  更新 : 2017.05.29 19:17

■どんなクルマ?

今年の末にデビューするディスカバリー・ファミリー初の派生モデルとなるディスカバリー・スポーツにバトンパスする前に、ランドローバーフリーランダーの最終モデルとして用意されたのがこのフリーランダー2メトロポリスSD4だ。言い替えれば、17年間、2世代に続いて受け継がれたフリーランダーの名前を持つ最後のモデルなのである。

“なんだ、モデル末期の在庫処分要員なのか” とお思いの読者にこそ、この記事を読んで頂きたい。というのも、メトロポリスは歴代のフリーランダーの名を冠するモデルの中で最も豪奢で高品質であり、おまけに最も高価であるからだ。

メトロポリスには、フリーランダーの中で最も高出力な190psの2.2ℓ SD4ターボ・ディーゼル・エンジンに6速ATが組み合わせられ、既に馴染みあるパワー・トレインを介して4輪に伝達される。

以前に発売されたHSEラグジュアリーというグレードのフラッグシップ・モデルを基本にして構成されているため、ウインザー・レザー・シートや19インチ・アロイ・ホイール、メリディアン製サウンド・システム、タッチスクリーン衛星ナビゲーション・システム、質感の高いカーペット、バック・カメラ、メタリック・ペイント、グロス・ブラック・インテリア・トリムなどが標準で備わり、言うまでもなくフリーランダー史上最高の豪華版モデルなのである。

■どんな感じ?

今となっては少しばかり古さを感じずにはいられない。総合的に見ると快適ではあるが、ボディ・コントロールにはふわりと揺れ動くような感覚があり、路面状況があまり好ましくない路面を低速で走る場合にはお世辞にも優れた乗り心地であるとは言い難い。その反面、轍をハイスピードで走る場合には真価を発揮する。

当然の事ながら、フリーランダーはルノースポール・メガーヌの様な接地感を目指しているのではないけれど、日産キャシュカイが、フォルクスワーゲン・ゴルフのように乗り心地を犠牲にしないシャープなコンパクトSUVを提示した以上、われわれはデビュー予定のディスカバリー・スポーツに期待せずにはいられない。

パワー・トレインは充分にスムーズで活発ではあるが、全てのシチュエーションでレスポンスに優れているわけではない。その証拠に、ドライバーが望むトルクを引き出そうとしてもオートマティック・ギアボックスが実際に仕事を始めるまでに1、2秒の時間差がある。ただし高速道路を中高速域で走る際の燃費は申し分ない。

一方外観はさすがに年代を感じずにいられないものの、安っぽさはなく高価格なクルマとして相応しい装いだといえる。内装は、少しばかりプラスチック素材が散見されるものの、各種スイッチは操作性と頑健性に優れる。特にシートの質感と快適性は特筆に値し、小さなレンジローバーのような印象さえ与えてくれる。言うまでもなくコマンド・ポジションはとても優秀だ。

■「買い」か?

センスよく纏められ、程よく熟成したこのクルマは稀に見る、旧き佳き時代のランドローバーの感覚を近代的なタッチを通して感じることのできるモデルだといえる。

ただし、より安価で優れた運転感覚を与えてくれるモダンなライバルが既に存在しているだけに、おすすめすることは極めて難しい。その上、時代を感じさせる機械的な欠点を豪華な仕上げで完全にリカバー出来ているわけでもないからだ。

来年デビュー予定のディスカバリー・スポーツはもちろん更に高級感溢れるものになるであろうが、それゆえに価格もアップされるはずだ。そう考えると、メトロポリスは魅力的に見えてくるのではないだろうか。

(マーク・ティショー)

ランドローバー・フリーランダー2メトロポリスSD4

価格 £35,995(618万円)
最高速度 190km/h
0-100km/h加速 8.7秒
燃費 14.3km/ℓ
CO2排出量 185g/km
乾燥重量 1805kg
エンジン 直列4気筒2179ccターボ・ディーゼル
最高出力 190ps/3500rpm
最大トルク 42.9kg-m/1750rpm
ギアボックス 6速オートマティック

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