メルセデスAMG EQS 詳細データテスト 楽に飛ばせて快適 低速域は洗練性が不足 質感は不満も

公開 : 2022.06.26 18:25  更新 : 2022.07.11 08:28

内装 ★★★★★★★☆☆☆

EVのEQSはトランスミッションに占有されるスペースがないので、Sクラスより高級なラウンジを思わせる雰囲気を、メルセデスはこのクルマに構築するチャンスを得たと言える。

ところが、明らかに、仕様の問題や、テスト車のダークな内装と迫り来るようなハイパースクリーンのせいではなく、テスター陣は魅力的でない部分をこのキャビンに見出した。

ハイパースクリーンという名称は巨大な全面ディスプレイを思わせるが、実際は3つの画面をガラスで覆ったもの。ナイトエディションには標準装備だが、通常は7995ポンド(約132万円)のオプションだ。
ハイパースクリーンという名称は巨大な全面ディスプレイを思わせるが、実際は3つの画面をガラスで覆ったもの。ナイトエディションには標準装備だが、通常は7995ポンド(約132万円)のオプションだ。    LUC LACEY

大きな不満は、疑問を感じる質感と、高いベルトラインやスカットルがもたらす閉塞感だ。押したりもたれかかったりするとしなりすぎるパネルがあり、おかしな軋み音が出たりする。また、ステッチが乱れている箇所も見つけられる。

たしかに、好ましい部分は少なくない。ダッシュボードから途切れなく続くドアパネルや、ハイパースクリーンからセンターコンソールへ続くフレームなどはみごとな仕上がりだ。しかし、質感は全体的に安っぽく、レイアウトは独創性に欠ける。

テスト車に装着されたAMG仕様のスポーツシートは、スマートに一体化されたヘッドレストを備えるが、サポートが物足りない。しかも、15万7160ポンド(約2593万円)のクルマについているシートとしては、見栄えがちょっとばかり普通すぎる。

AMGらしい要素を探すと、表面的なものに限られる。部分的にアルカンターラを使ったステアリングホイール、シートとフロアマット、あとはグラフィックくらいだ。控えめだが、53のアファルターバッハらしさが63より薄いのはいつものこと。おそらくEQSのラインナップに加わるだろう最上位モデルに、もっと本格的なAMGテイストは残してあるということだろう。

後席も、長短あわせ持つといった感じ。レッグルームは広大で、リムジンといえるレベルだ。頭上も広い。暗くなれば、前後席ともアンビエントライトがムードを盛り上げてくれる。しかし、標準装備のシートは背もたれが足りず、やや立ちすぎだ。

ラグジュアリーラウンジパックを選ぶと、シートが独立調整式となり、問題は改善される。しかし、ナイトエディションには未設定で、ツーリングでのみ選択できる仕様となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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