メルセデスAMG EQS 詳細データテスト 楽に飛ばせて快適 低速域は洗練性が不足 質感は不満も

公開 : 2022.06.26 18:25

結論 ★★★★★★★★☆☆

大袈裟な言い方はしたくないのだが、EQSには眠れる巨人が眼を覚ましたような感覚がある。メルセデスにとって初となる、本格的なEV専用モデルは、メルセデスのもっとも象徴的な車種ともいうべきフラッグシップサルーンとなったわけで、そこに野心の欠如があろうはずがない。

そのボディサイズと実用性もさることながら、これまでテストしたEVのなかでもっとも航続距離が長く、今回のAMG 53は最速の一台でもある。

結論:よくできているが、スペック表に記された驚きのポテンシャルを存分に実感することはできなかった。
結論:よくできているが、スペック表に記された驚きのポテンシャルを存分に実感することはできなかった。    LUC LACEY

EVのSクラスというには、インテリアの高級感は物足りないが、ある程度の驚きをもたらす要素はあり、新し物好きのユーザーにはアピールする。だが、かつてスリーポインテッドスターを掲げる、大きくてゆったりした乗り心地のリムジンを愛したひとびとには、そこまで魅力的に映らないかもしれない。

しかも同時に、このクルマは非の打ちどころがないわけではない。メルセデスの大型サルーンの要となるべき、走りのセンセーショナルな洗練性はここにはない。とくに低速域でそうだ。また、うわべの魅力をおうあまり、根本的なキャビンのクオリティが犠牲になっている。

さらに、このAMGモデルは、もっとドライバーを喜ばせてくれてもよかった。アイデアはすばらしいのだが、今のところ、まだ磨き込まれていない。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

EQとAMGが共存しうるものなのか、いささか疑問だ。下位のEQEならばまた違った感想を持つかもしれないが、もしもEQSを買うなら、スポーティさよりも文句なしの高級感を求める。明るい色調のレザーや後席のラウンジパック、下位グレードの450+に装備される快適なシートのほうが好みだ。そして、ハイパースクリーンは御免こうむる。タブレットタイプのタッチディスプレイの方がずっとエレガントだ。

マット・ソーンダース

EQSとiXならどちらがほしいか、と聞かれたら、iXを選ぶ。どちらも快適かもしれないが、本当に心地よく乗れるのはBMWのほうだ。画一的なところもより少なく、より斬新に感じられるという点でもやや上回っている。

オプション追加のアドバイス

AMG EQSを買うなら、ナイトエディションかツーリングかいずれかの仕様を選ぶことになる。違いはほとんどが見た目の問題だが、高級なリアシートを装着できるのはツーリングのみ。われわれとしては、重視したいポイントだ。

改善してほしいポイント

・シートのグレードアップはしてほしい。バケットシートがほしいのではなく、もっとしっかり身体をあずけることができればいいのだ。
・こんなに重いクルマには、効きはじめがもっと明確で、安心して使えるブレーキが必要だ。
・スピードバンプを乗り越える際に、サスペンションから音が出ないようにしてもらいたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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