「V8」を置き換える直6+モーター メルセデスAMG E 53 ハイブリッドへ試乗 新たな強みを獲得!

公開 : 2024.07.02 19:05

V8のAMG E 63を置き換えるE 53 ハイブリッド システム総合585ps 電気で最長101km走行可能 本領なら驚異的な加速 正確で着実な操縦性 軽くない車重が多少の足かせ 英編集部が評価

V8のE 63を置き換えるE 53 ハイブリッド

メルセデスAMG謹製のスーパーサルーン、E 63を自分は忘れないだろう。ドイツ・アファルターバッハの精鋭だけが生み出せる、鮮烈で獰猛なモデルだった。しかし、抜本的な電動化計画の一環として、ラインナップから消滅してしまった。

16年間、3世代に渡って名声を築き上げてきたことは、多くのクルマ好きの記憶へ刻まれているはず。その後継として誕生したのが、今回試乗したAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+だ。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)

サルーンとステーションワゴンが提供されるが、もうV8エンジンは載っていない。それでも、動力性能に不足はない。ダイナミックプラス・パッケージを選択すれば、先代のE 63 4マティック+と同等の、611psを発揮する。

このパワートレインは、2016年にリリースされたE 53の進化版。3.0L直列6気筒ガソリンターボを主軸とする、プラグイン・ハイブリッドだ。GLE 53 4マティックの動力源でもある。

ターボチャージャーは大径化され、ダイナミック・エンジンマウントを獲得。冷却性能を高めるなどの改良が施され、従来から13psと4.1kg-m増強し、エンジン単体で449psと56.9kg-mを発揮するようになった。

さらに、163psと48.8kg-mを生み出す、新しい非同期モーターをエンジンと9速ATの間に搭載。新世代のシステムといえ、メルセデスAMGはP2ハイブリッドと呼んでいる。

ちなみに、E-パフォーマンスを名乗る、GT 63やS 63などとシステムは異なる。こちらはP3ハイブリッドと呼ばれ、駆動用モーターはリアアクスル側に載っている。

システム総合585ps 電気で最長101km走行可能

話を戻すと、システム総合での最高出力は585ps、最大トルクは76.3kg-mとなり、先代のE 53比で150psと23.4kg-mも強化されている。さらに先述のダイナミックプラスを指定すると、ソフトウエアが専用となり、ブースト機能で611psが引き出される。

この大パワーは、四輪駆動システム、AMG 4マティックが受け止める。トルクベクタリング機能も備わり、左右のリアタイヤへ伝わるトルクは個別に制御される。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)

ドライブモードは、インディビジュアルとバッテリーホールド、エレクトリック、コンフォート、スポーツ、スポーツプラスの6種類。オプションのダイナミックプラス・パッケージを指定すれば、7番目のレーススタート・モードも追加される。

駆動用バッテリーは21.2kWhで、荷室の床下へ搭載。電気だけで、93kmから101kmも走行可能だ。急速充電能力は、最大60kWまで対応する。

スタイリングは、上昇した動力性能へ見合うように、通常のEクラスより大胆。大きな冷却用グリルの開いたフロントバンパーや、11mm広いトレッドを覆う、ワイドなフロントフェンダーなどが与えられる。

サイドシルにテールスポイラー、リアディフューザー、4本出しマフラーも専用アイテム。アルミホイールは19インチが標準だ。試乗車には20インチが組まれていたが、21インチまでサイズアップもできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事