HVハッチバック乗り比べ ホンダ・シビック トヨタ・カローラ 半世紀の進化の現在地 前編

公開 : 2022.12.10 09:45

機械的なアップデートの必要性を感じない

本来ならフェイスリフト後のカローラを用意できれば理想的だったが、実際にわれわれの手元に届くのは2023年1月以降。改良前の、英国仕様の2.0Lハイブリッドで比較することになった。といっても、相手としてまったく不足はないようだ。

2.0Lハイブリッドのカローラに乗ってみると、機械的なアップデートが必要だとは感じさせない。新しいシビックの実直な印象に、まったく劣っていない。

ホンダ・シビック e:HEV(英国仕様)
ホンダ・シビック e:HEV(英国仕様)

確かに、走行中は古いCVTのようにダイレクト感が若干薄いものの、フィーリングはかなり良好。アクセルペダルを倒しきらない限り、エンジンの回転数の変化に不自然なところは殆どない。ノイズが過剰に高まる場面も限定的だった。

一方のシビックは、よりエンジンの存在感が前にある。アクセルペダルを半分程度まで倒すと、多段ギアのオートマティックのように振る舞う。メカニズムに関心を寄せないドライバーなら、至って自然に、従来のクルマのような印象を受けるはず。

スポーティ度が高く、2.0L 4気筒エンジンから好ましいサウンドが優しく耳へ届く。それでいて、動力性能や燃費性能はカローラと肉薄している。

実際の加速力ではカローラの方が若干鋭いようだが、同じ条件でストップウォッチを持ち出さなければわからない程度。燃費は、英国の交通環境では簡単に18.0km/L以上を狙えられる。

シビックの方が燃費はやや優れる。だが、カローラはアップデートされた2023年仕様ではない。動力性能を考えれば、両車ともエネルギー効率は唸らされるほど高い。

カーブの続く道で見えてくる小さな違い

英国郊外の一般道を走らせると、2台の個性が似ていることを実感する。今回のカローラはGRスポーツ・グレードで、少しアグレッシブな見た目と赤と黒のGRロゴ、18インチ・アルミホイールを得ているが、それ以外は通常のカローラと同等だ。

同じく18インチ・ホイールを履くシビックの方が、乗り心地は少し硬めではあるが、直接乗り比べなければ気が付かない範囲。柔らかすぎることもなく、硬すぎず、ファミリー・ハッチバックとして的を得ている。

トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド(英国仕様)
トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド(英国仕様)

カーブの続く道を走らせると、小さな違いが見えてくる。カローラの方が若干ソフトな足まわりのため、ボディロールもやや大きい。ステアリングはシビックよりスローで軽いが、負荷が高まるほど重く転じ、安心感も増していく。

ホンダのステアリングはクイックで、手応えも多い。しっかり路面を掴んでいる印象があり、低めのドライビングポジションがドライバーの気持ちをそそる。かといって、大きな違いといえるほどではないだろう。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    トニー・ベイカー

    Tony Baker

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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