アウディTTスポーツバック・コンセプト

公開 : 2014.10.02 22:35  更新 : 2017.06.01 02:11

アウディは新設計の401psを発揮する2.0ℓ 4気筒エンジンを組み合わせた、5ドアのTTを計画していると明かした。モデル名はTTスポーツバックとなる予定だそうだ。

実用性を兼ね備えたニュー・スポーツバックは2014年にデビューしたばかりの3代目TTの派生モデルという位置づけ。1月のデトロイト・モーターショーと4月の北京モーターショーで姿を表したTTオールロードの進化系だと捉えていい。

パリ・モーターショーでの発表を控える3台のコンセプトは、あくまで製品化すると公式に発表されてはいないけれど、クーペやロードスターで成功を収めたTTの可能性を更に広げることのできる証明として公開されている。今のところ耳に入ってきた情報では、リフトバック、シューティング・ブレーク、SUVなどの候補も挙がっている。

”TTスポーツバックはTTのもつ可能性を具現化したモデルなのです” とアウディのリサーチ開発部門のウルリッヒ・ハッケンバーグ氏は言う。さらに ”未来のTTファミリーはクーペ、ロードスター、スポーツバックだけではありませんよ” と含みを持たせるところからも、TTオールロードやTTオフロードの存在を予感させる。

TTスポーツバックのデザイン言語の多くはTTクーペから引き継いでいると同時に、他モデルと同様1990年代から影響を受けたバウハウスのエッセンスも明確に取り入れている。

大きな六角形のグリルなどは他の現行モデルと大きく通じているし、クラムシェル・ボンネットは現行のTTと同じだ。またアウディが最近導入したレーザー・ハイビーム・プロジェクターは60km/h以上で自動点灯するとのこと。

フェンダーの形状は1996年にデビューした初代TTからの伝統とも言える。またコンセプト・モデルには10本スポークの21インチ・アロイ・ホイールに255/30のタイヤが組み合わされている。

前後ホイールアーチをつなぐサイドの ’トルネード’ ラインが、ヘッドライトからテールライトに向けて力強く伸びる。また4枚のフレームレス・ドアは前側にヒンジを持つ。もちろん上下の幅が小さなサイド・ガラスはドアが増えた分、前後方向に延長されており、Bピラーも剛性アップのために見直されているようだ。

テール・ゲートはクーペと同様リフトバック・スタイルを採る。アウディA7のそれをイメージしていただければ分かりやすいだろう。テールライトはスポーツバックのための専用設計、2本出しの楕円形マフラーはバンパーの下側から顔を覗かせる。

全長は4470mm、全幅は1890mm、全高は1380mm。3ドアのTTに比べると全長+290mm、全幅+58mm、全高-27mmということになる。全長+14mm、全幅+94mm、全高-36mmと言うのが現行のA3サルーンと比べた際の値だ。

プラットフォームは親会社であるフォルクスワーゲン製MQBの新しいバリエーションを採用したとのこと。3ドアのTTより125mm、A3サルーンより7mm長い、2637mmのホイールベースのおかげでリア・ドアのサイズと、後席に大人2名が乗った際の余裕は十分なもの。

公表値はまだ明かされてないが、ボディが横方向に大きくなったおかげでトレッドも増えている。

ボディに用いるマテリアルを徹底して吟味したおかげで、3ドアのTTと同程度の車重と剛性を確保したとのこと。フロント・セクションはスチール製、フロアは熱間鍛造の構造用鋼、4枚のドアとボンネット、トランク・フードなどはアルミニウムを採用している。

インテリアの多くは、クーペのものを流用。スポーツバックにも高品質のダッシュボードやデジタル機器、センター・コンソール、スイッチ類、マルチファンクション・ステアリング・ホイール、サポート性の高いフロント・シート、カーボン風のトリムなどが健在だ。

中でも12.3インチのTFTモニターからなるバーチャル・コックピット・ディスプレイ(従来のメーター・パネルに位置する)はインテリアのハイライト。センター・コンソールに位置する回転式のコントローラーからコントロールができ、表示内容を個別にカスタマイズできるのが特徴だ。

5シーターにするか、後席独立型の4シーターにするかでは議論があったそうだが、最終的には後者を採った。十分な収容能力を優先させた結果だ。後列の2席はアームレストと小物入れで分割されており、ラゲッジ・スペース拡大のために折りたたむ事も可能。

組み合わされるエンジンはアウディが開発した2.0ℓの4気筒EA888型。TTスポーツバック専用に大掛かりなチューニングが施され、横方向にマウントされる。最高出力は6400rpmにて401ps、最大トルクは2400rpmから6000rpmの間で45.9kg-mを発生する。現行のTTSクーペと比べると+90psと7.2kg-mの増強だ。リッターあたり200psを発揮すると考えれば、いかにパワフルなエンジンかがお分かりいただけるだろう。

似通った構成の2.0ℓ4気筒エンジンを持つメルセデス・ベンツCLA45 AMGは、TTスポーツバックよりわずかに低い6000rpmにて360psと、2250rpmから5000rpmの間で45.9kg-mを発生することも参考にされたい。

組み合わされるターボチャージャーの最大ブースト圧は1.8bar。燃料流量を増やす目的でシリンダー・ヘッドは改良された。また可変バルブ・タイミング・システムを採用し、エキゾースト・マニフォールドの設計も再度やり直されたとのこと。直噴を補う間接噴射も追加されている。

強大なパワーは、ステアリングに据え付けられたパドルからも制御可能なSトロニック・デュアルクラッチATを介して、リア・アクスルの前部に位置するマルチプレート4WDシステムへと伝えられる。

車重やギアボックスは更に改良を勧める方針ではあるが、自前のコンピューターでシミュレーションを行った結果、既に0-100km/hは3.9秒をマーク。TTSクーペより1.1秒速く、アウディ最強のスーパーカーであるR8 5.2 V10プラスの3.5秒という記録まであと0.4秒のところまで来ているとのこと。

最高速度こそ正式な数値は明らかにしていないものの、”速度制限の250km/hは軽々と越えられると予想していただいて構わない” と言うのがアウディ側のコメントである。

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